原虫核からヒト細胞核へ移行する新規宿主制御因子の解明
Project/Area Number |
21K19372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 49:Pathology, infection/immunology, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 智義 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60198588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津久井 久美子 国立感染症研究所, 寄生動物部, 主任研究官 (00420092)
サントス ハルベルト・ヒメネス 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90793779)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 原虫 / 宿主制御 / 分泌 / 核移行 |
Outline of Research at the Start |
ウイルスや細菌・原虫などの細胞内寄生体で知られる分泌装置やエフェクターと独立して進化した、細胞外寄生体による前例のない宿主調節機構を解明する。腸管寄生性原虫赤痢アメーバの核内因子で、ヒト細胞との接触により放出され、ヒト細胞に取り込まれ核移行するリジングルタミン酸リッチタンパク質(KERP2)の宿主移行・調節機構を解明する。1. KERP2のヒト標的細胞を特定、2. KERP2の転写や脂質代謝調節因子としての可能性を検証、3. KERP2の輸送の機構を解明する。更に、4. 原虫由来の細胞透過性ペプチドによる運搬系の可能性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスや細菌・原虫などの細胞内寄生体で知られる分泌装置やエフェクターと独立して進化した、細胞外寄生体による前例のない宿主調節機構を解明することを大きな目的として研究を行った。具体的には、腸管寄生性原虫赤痢アメーバの核内因子で、ヒト細胞との接触により放出され、ヒト細胞に取り込まれるリジングルタミン酸リッチタンパク質(Lysine glutamic acid rich protein, KERP2)の核―細胞質移行・宿主移行・宿主調節機構を解明することを目的としたた。KERP2の標的細胞を腸管・免疫系細胞から特定し、KERP2が広くヒト細胞に移行することを明らかにした。さらに、KERP2が赤痢アメーバ内で転写調節やクロマチン制御に関与する可能性を検証した。また、KERP2の輸送の機構を解析した。本研究は、寄生性原虫赤痢アメーバの分泌タンパク質による、前例のない新規宿主調節機構の一旦を明らかにする成果であった。リジン・グルタミン酸リッチタンパク質は寄生性原虫赤痢アメーバの核内因子でヒト細胞への接触により核から脱出し、細胞外に放出され、ヒト細胞に取り込まれる前例のないタンパク質である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ヒト培養細胞、血液細胞を用いたKERP2標的細胞の同定を実施し、KERP2がヒト由来の広い培養細胞に取り込まれることを組織化学的に明らかにした。またGFP-KERP2発現赤痢アメーバ株を用い、ヒト細胞・組織への移行をリアルタイムイメージングで明らかにすることに成功した。さらに、培養細胞に対するKERP2による遺伝子発現制御の全容の解明を目指し、KERP2添加による全遺伝子発現への影響をRNA-seq解析した。antisense small RNAを用いた遺伝子発現抑制法により作成したKERP2発現抑制赤痢アメーバ株(KERP2gs株)を用いて、上記の2種の培養細胞とKERP2gs株を共培養し、ヒト細胞の全遺伝子発現像への効果を比較解析した。また、KERP2の他のタンパク質との相互作用を明らかにし、その生理機能を解明するために、上記ヒト細胞をKERP2と共培養後、免疫沈降によりKERP2結合タンパク質を濃縮、質量分析により同定した。Gene Ontology濃縮解析により、核機能、核酸結合、アクチン結合、リボソーム構成因子、加水分解活性、プオテアソームなどのカテゴリーに偏在が見られた。核―細胞質の輸送に関係のあるBCP1, Importinなどのタンパク質も濃縮されていた。KERP2はコイルドコイル、核移行・脱出配列をもつ。それぞれの領域の欠損変異体をGFPの融合タンパク質として発現する形質転換株を発現する赤痢アメーバを作成し、局在・動態を観察したところ、赤痢アメーバ細胞内で核―細胞質間輸送に係る領域を同定した。KERP2のC末端部分(a.a. 165以降)の領域が核への輸送に必須であることを明らかにした。この部分は、高い確率でCoiled coilの構造をとっていることが演繹された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後以下の点について研究を展開することを予定している。まず、赤痢アメーバ内で核と細胞質の輸送に関与することが同定されたC末端部分に結合するタンパク質を同定し、核以降の分子機構をより詳細に解明する。次に、核内での役割を明らかにするために、クロマチン免疫沈降法により、KERP2が結合するゲノム領域を特定し、KERP2により制御される遺伝子群を特定する。さらに、宿主細胞への移行の分子機構を解明する。中期的には、KERP2の細胞透過・核移行領域を用い、薬物輸送システム(ドラッグデリバリーシシステム)としての可能性を検証する。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Proteomic analysis of Atg8-dependent recruitment of phagosomal proteins in the enteric protozoan parasite Entamoeba histolytica,2022
Author(s)
Nakada-Tsukui, K., Watanabe, N., Shibata, S., Whayuni, R., Miyamoto, E., Nozaki, T.
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Journal Title
Front Cel Inf Microbiol
Volume: 12
Pages: 1-14
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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