Project/Area Number |
21K19408
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 50:Oncology and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
二村 圭祐 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00462713)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | ウイルス療法 / HVJ-E / 腫瘍免疫 |
Outline of Research at the Start |
腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)を活性化することで強い抗腫瘍効果が期待できることが、免疫チェックポイント阻害剤の開発により近年明らかになってきた。一方で、TILが少ない症例に対し免疫チェックポイント阻害剤の効果は期待できない。本研究ではTILを活性化する可能性のあるウイルス療法がどのように抗腫瘍効果を発揮するのか明らかにし、TILが少ない腫瘍でも抗腫瘍効果を誘導できる方法を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍浸潤リンパ球を活性化させることで強い抗腫瘍効果が期待できることが、免疫チェックポイント阻害剤の開発により近年明らかになってきた。しかし、腫瘍浸潤リンパ球が元々少ない症例では免疫チェックポイント阻害剤の効果は期待できない。ウイルスを腫瘍内に投与するウイルス療法は殺腫瘍細胞効果を持ち、さらに腫瘍浸潤リンパ球を増幅・活性化する効果を持つと期待されている。腫瘍溶解性ウイルスはがん細胞内で増幅することで、がん細胞を殺傷すると考えられているのに対して、非増殖性ウイルスがどのように抗腫瘍効果を誘導するのか不明な点が多い。非増殖性センダイウイルス(HVJ-E)の腫瘍内投与は高い抗腫瘍効果を発揮する。申請者らはHVJ-Eの抗腫瘍効果の分子機序の解明に取り組み、脂質代謝関連分泌因子の1つがHVJ-Eによって腫瘍細胞から分泌されることが、HVJ-Eの抗腫瘍効果の実体であることを見出した。この脂質代謝関連分泌因子の抗腫瘍効果メカニズムの解明に取り組んだ。その結果、HVJ-Eの腫瘍内投与と同様に脂質代謝関連分泌因子の投与によって、がん細胞でPARPの切断が促進し、細胞死が誘導されていることがわかった。さらに、ゲノムワイドスクリーニングを行い、網羅的なタンパク質近接情報を取得した結果、脂質代謝関連分泌因子の細胞内に取り込まれる機序と腫瘍細胞内での作用機序が明らかとなり、脂質代謝関連分泌因子に呼応した癌細胞の応答を見出した。以上の結果から、申請者らが同定した脂質代謝関連分泌因子がウイルス療法と同じ抗腫瘍効果を誘導できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究から、HVJ-Eの抗腫瘍効果の本体として同定した脂質代謝関連分泌因子がHVJ-Eと同様にがん細胞において細胞死を誘導し、NKG2Dリガンドの発現を誘導し得ることを見出した。さらに脂質代謝関連分泌因子が細胞内にエンドサイトーシスを利用して入ることを見出した。2種類の網羅的な手法を用いて細胞質内において相互作用する因子を探索した結果、シグナル伝達因子の機能を阻害することを見出し、作用機序を明らかにしつつある。そのため、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究から、申請者らが同定した脂質代謝関連分泌因子がHVJ-Eによる抗腫瘍効果を誘導するために必要十分な因子であることが示唆された。脂質代謝関連分泌因子をがん細胞がどのように受け取り、細胞死を引き起こすのか、そのシグナル経路が明らかになりつつある。昨年度までに、このシグナル経路を明らかにすることで、脂質代謝関連分泌因子が創薬標的因子となりうることを見出した。そこで、今年度においては、脂質代謝関連分泌因子を基にした治療分子を作製する。これまでの予備的な結果から、候補因子は同定している。本研究の成果はこれまでにない治療分子を同定することができると考えられる。
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