新規生物学的コンセプトを応用した頭頸部ウイルス発癌超早期治療法の開発
Project/Area Number |
21K19557
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 56:Surgery related to the biological and sensory functions and related fields
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉崎 智一 金沢大学, 医学系, 教授 (70262582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 悟 金沢大学, 附属病院, 講師 (70436822)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | ウイルス発癌 / Epstein-Barr ウイルス / ヒトパピローマウイルス / 細胞競合 / 頭頸部癌 / オートファジー |
Outline of Research at the Start |
ウイルス感染から発癌に至る過程において、上皮細胞感染後に潜伏感染に移行したウイルスの排除、感染細胞自身の排除に有効な治療法はなく、我々の免疫が有効であるのみである。本申請では近年解明が進みつつある生物学的コンセプトとして、1)レスベラドロールによる正常細胞の細胞競合能増強によるウイルス感染細胞排除、2)オートファジー調整によるウイルス遺伝子産物に対する抗原提示活性化、を応用し感染細胞の駆除効率を改良する治療法の開発を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
ウイルス感染から発癌に至る過程において、感染予防目的にワクチンや抗体、発癌した個体には手術・放射線・化学療法が適応となる。一方で、これらのウイルスが上皮細胞感染後に潜伏感染に移行した場合には、感染ウイルスの排除や感染細胞自身の排除に有効な治療法はなく、後者に対しては、我々の免疫が有効であるがその有効性は限定的である。 多くの施設で、血液、鼻汁や唾液からのウイルス検出法が改良され、再現性のあるスクリーニングが可能となった。しかし、検出できてもウイルス潜伏感染の癌化を防止する方法は確立されていない。そのため、上咽頭癌、中咽頭癌ともに感染後10数年の経過で癌化に至るケースが多いと考えられている。 昨年度は上咽頭癌組織において、上咽頭癌細胞に対して周辺に位置する非癌細胞が抗アポトーシス因子であるSparcを発現して抵抗していることを明らかにした。そして、この傾向はEBV関連上咽頭癌では観察されるが、EBV非関連上咽頭癌では観察されないこと、周辺細胞におけるSparc発現と上咽頭癌細胞におけるEBV遺伝子EBERsが相関することも判明した。タイムラプス顕微鏡と培養細胞を用いた実験ではEBV陽性上咽頭癌細胞株HK1-EBVは、EBV陰性上咽頭癌細胞株HK1との細 胞競合現象によって排除されること、そして細胞競合現象を促進するといわれるポリフェノール抽出物であるレスベラドロール添加でHK1-EBVの排除が促進されることを明らかにした。今年度はさらに上咽頭癌で発現しているEBV遺伝子EBNA1、LMP1、LMP2をsiRNAを用いて抑制した際の細胞競合現象を観察しEBV遺伝子LMP1が細胞競合能に最も影響を与えることを明らかにした。そして、LMP1発現細胞とLMP1非発現細胞における細胞競合おいてもレズベラドロールはLMP1非発現細胞の細胞競合能を強化することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞競合は発生母地が同一であるが隣接する形質が異なる細胞同士のせめぎ合いである。当初は発生過程でのみ観察されると考えられていたが、癌細胞に対して非癌細胞が抗アポトーシス因子であるSparcを発現して抵抗していることから、ヒト癌組織と隣接する正常細胞おいても生じている現象であることが明らかとなった。昨年度までに上咽頭癌組織においても癌細胞と正常細胞が戦っていることが確認された。また、培養細胞系の実験で、レスベラドロールは細胞競合現象のモデレーターであることを確認できたことに加え、上咽頭癌で発現しているEBV遺伝子EBNA1、LMP1、LMP2をsiRNAを用いて抑制した際の細胞競合現象を観察しEBV癌遺伝子LMP1が細胞競合能に最も影響を与えることを明らかにできた。癌化する以前のウイルス潜伏感染咽頭上皮細胞とウイルス非感染咽頭上皮細胞における細胞競合現象を明確に評価するために、上咽頭正常上皮細胞株NP69TとそれにGFP-EBVを導入したNP69T-EBVを混合培養し、タイムラプス顕微鏡下に経時的にEBV感染細胞と非感染細胞の細胞競合現象を観察したところ、LMP1発現細胞とLMP1非発現細胞における細胞競合おいてもレズベラドロールはLMP1非発現細胞の細胞競合能を強化することを明らかにできたことから、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
一般に上皮細胞に感染しているウイルスの遺伝子産物はMHCクラス I により抗原提示される。抗原提示細胞はCD8陽性細胞障害性T細胞の攻撃を受け排除される。しかし、EBV、HPVともに感染細胞で発現しているウイルス蛋白の抗原性は低く、上咽頭癌、中咽頭癌患者においてもウイルス蛋白に対する細胞障害性T細胞ポピュレーションは少ない。 オートファジーはリソソームによるタンパク分解系反応でMHCクラス I による抗原提示能への影響は定説がなかった。近年、オートファジー関連タンパクの欠質細胞ではインフルエンザウイルス抗原提示が増強されることが判明し(Parekh VV, Proc Natl Acad Sci USA. 2017)MHCクラス I 抗原提示系への関与が注目され始めている。EBV癌遺伝子LMP1は上咽頭癌に発現するものの抗原提示が抑制されている。オートファジー阻害活性を有する薬剤としてヒトへの投与が可能なクロロキンを用いたMHCクラス I 抗原提示系の活性化は上咽頭癌由来細胞株C666-1(HLA-B58)を用いて我々がすでにpublishした実験手法(Smith et al. Blood 2009)を用いLMP1抗原提示能活性化に最適な条件を解明する。その後にHPV蛋白について抗原提示能活性化に関する研究へと進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Olfactory dysfunction in LATY136F knock-in mice2022
Author(s)
Kaneda Misako、Yagi-Nakanishi Sayaka、Ozaki Fumi、Kondo Satoru、Mizuguchi Keishi、Kawano Mitsuhiro、Malissen Marie、Malissen Bernard、Yamada Kazunori、Yoshizaki Tomokazu
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Journal Title
Auris Nasus Larynx
Volume: 49
Issue: 2
Pages: 209-214
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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