若年期に刻むマッスルメモリーで寝たきりゼロは実現できるか?
Project/Area Number |
21K19735
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 59:Sports sciences, physical education, health sciences, and related fields
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉原 利典 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20722888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 久士 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 教授 (70188861)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | マッスルメモリー / サルコペニア / 生活習慣病 / 筋萎縮 |
Outline of Research at the Start |
認知症やサルコペニア等の老化による衰弱因子の多くは原因不明で、依然として治療法も予防法もなく謎のままである。このような社会的問題に加えて、座りすぎや運動不足等の生活習慣に誤りのある子どもたちの発生率は、世界的規模で劇的に上昇している。このままでは、世界が直面する子どもの運動不足と超高齢化社会の健康問題は強く結びつき、今後地球的規模の経済破綻や医療崩壊へと発展することが懸念されるが、その前提となる理論的根拠は実際には乏しい。本研究における学術的な問いは、生命科学的な視点から、若年期の生活・運動習慣は、加齢性疾患の根本的な原因となり得るのかを検証することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生命科学的な視点から若年期の生活・運動習慣が加齢性疾患の根本的な原因となり得るのかを検証するために、若年期の運動経験が筋内に記憶され、中高齢期の健康問題に対抗する手段となるとの仮説について検討を行うものである。本年度は、昨年度採集したサンプルの分析を進めるとともに、若年期における持久的トレーニングが中年期の運動効果や健康指標に及ぼす影響について検討を行った。若齢(3週齢)の雄性マウス74匹を用い、体重が等しくなるように、対照群、自発走トレーニング群、若年期+中年期トレーニング群、中年期トレーニング群に分けた。対照群は 4、16または40週齢まで通常飼育、自発走トレーニング群は16および40週齢まで、それぞれ12または36週間の自発走トレーニングを実施した。また、若年期+中年期トレーニング群は16週齢までトレーニングを実施し、16~28週齢まで通常飼育した後、28~40週齢にトレーニングを再開した。一方、中年期トレーニング群は28週齢時まで通常飼育した後、28~40週齢の期間のみトレーニングを実施した。その結果、28週齢から40週齢までの中年期におけるトレーニングによるクエン酸合成酵素活性の増加は、若年期にトレーニングを行った群でのみ有意に高まる傾向が認められた。また、若年期にトレーニングを経験することで、中年期のトレーニングによるミオシン重鎖アイソフォームType IIbからIId/xへの移行の程度が大きくなる可能性を見出した。次年度も引き続き解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に採集したサンプルの分析を実施し、若年期の運動不足経験が、負のマッスルメモリーとして保存され、成年期以降の糖尿病の発症に及ぼす悪影響について検討した。その結果、腹腔内糖負荷試験による耐糖能の程度から判断した場合、若年期における運動不足は、2型糖尿病モデルラットにおける糖尿病の進行には影響を与えなかったが、抗重力筋であるヒラメ筋中のタンパク質分解系マーカーの亢進や脂質過酸化指標から見た酸化ストレスの増大に関わる可能性を示すことができた。また、若年期に運動不足を経験したラットではアセチル化リジン9発現量の低下が認められており、若年期に運動不足を経験したラットのヒラメ筋では、何らかの形で運動不足の影響が残存しており、糖尿病の発症の有無に関わらず遺伝子発現調節機構に不全を生じさせている可能性がある。また、若年期に運動経験を持つマウスでは、中年期におけるトレーニングによって生じるクエン酸合成酵素活性(ミトコンドリア量の指標)の増加が大きく、トレーニングによるミオシン重鎖アイソフォームの遅筋化の程度も大きくなる可能性を見出しており、今後解析を進め若年期のマッスルメモリーが成年期以降の健康対策になるか否かについて検討する。このようにサルコペニアに対する影響が検討できていない点で計画の遅れはあるが、本年度までの実施計画についてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られたサンプルの分析を継続して行うとともに、若年期の運動が骨格筋にどのような形で記憶され、中年期のトレーニング効果の獲得に影響を与えているのかについて明らかにする。次世代シークエンサーを用いて、DNAメチル化解析やCUT&RUN-seq解析を実施することにより、若年期のマッスルメモリーに関わる骨格筋エピジェネティクスについて検討を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)