高良玉垂宮の仏教美術に関する基礎的研究-山内安置場所の復元と神仏分離過程の整理-
Project/Area Number |
21K19974
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Kyushu Historical Museum |
Principal Investigator |
國生 知子 九州歴史資料館, 学芸調査室, 研究員(移行) (80911453)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 山岳霊場 / 仏教美術 / 神仏習合 / 神仏分離 / 九州 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、筑後国の中核的山岳霊場である高良玉垂宮について、仏教美術の観点から調査を進めるものである。まず、神仏分離によって山外に移座された作品群を特定し、美術史的な位置づけを行う。次に、作品群の元の安置場所を推定し、かつての山の宗教空間を復元的に考察する。さらに、明治時代の神仏分離の際の移座状況を整理し、山内の宗教空間が解体されると同時に、山外に新たな宗教空間が形成される過程を見つめなおす。 これらを通じて、高良玉垂宮の仏教美術の様相を明らかにし、神仏分離が山とその周辺に及ぼした影響を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、筑後国を代表する山岳霊場・高良玉垂宮(高良山)について、神仏分離の際に山を降りた仏教美術を追跡調査しながら、かつて神仏が習合していた山のあり方を復元的に考察するものである。 今年度は、1年の事業延長をした上での最終年度である。山麓に位置する国分寺の調査を完了させ、御井寺の調査に着手し、成果を基盤研究Cに引き継ぐ作業を進めた。 主な実績は、福岡県久留米市の国分寺の調査である。この寺は、筑後国分寺の由緒を受け継ぐ古刹であり、神仏分離の際に高良山から多数の仏教美術を受け入れ保護した寺でもある。従来から、山門の石造仁王像や、正平22年(1367)銘の地蔵来迎図板碑(県指定)が山からもたらされたことが知られていたが、この他にも山に関わる作例が相当数現存し、特に明静院という山内寺院の作例が集中することが分かった。 明静院は、高良玉垂宮の神宮寺・御井寺の最大の子院である。神仏分離によって廃絶しその実態は不明だったが、調査では、明静院本尊として造像された17世紀の元三大師像や、東叡山伝来の鬼大師像、絹本著色元三大師秘密供本尊などを確認し、明静院が元三大師信仰の一大霊場であったことを明らかにした。また、15世紀の両界曼荼羅図や明版法華経、当初の安置場所の特定には至らなかったものの12世紀の神将形立像、中世博多を拠点とした猪熊姓仏師の不動明王坐像を確認した。記録類では、明静院の歴代住持を記す位牌や、高良山からの移座状況を詳細に記す明細帳などが確認され、今後の研究の基礎資料となることが見込まれた。 一連の成果公表として、久留米市で地元住民を対象とした講演会「高良山の仏教美術」を2回開催し、九州歴史資料館研究論集に「筑後国分寺の仏教美術について-近世高良山の元三大師信仰を示す作例に注目して-」を掲載した。これらは基盤研究Cの成果公表も兼ねる。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)