Project/Area Number |
21K20026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0102:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 園子 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (80907139)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | エコポエティック / 抒情詩 / エレーヌ・ドリオン / シルヴィア・バロン・シュペルヴィエル / 20世紀フランス詩 / 移動 / 場所 / 自然 / ジュール・シュペルヴィエル / フランス現代詩 / フランス詩 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題「20世紀フランス詩のエコポエティック研究」は、エコクリティシズム(環境批評)との接点を持つ、自然についての新しい感覚に基づく詩学研究の試みである。エコロジーの語源はギリシャ語のoikos(「家」の意)とlogos(「言葉」の意)であり、エコポエティックは土地との親密な関係を基礎とする詩学でもある。本研究は、ローカルで個別的な<場所>の概念と、同一で普遍的な<空間>の概念を区別することで、本質的には人類学の領域のものである「場所」と、形而上学的・観念的な「詩的空間」とが、20世紀のフランス詩における「詩的に住まう」ことの意味をいかに重層化しているかを明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、20世紀フランス詩において多様化する土地の(移動を含む)経験が、いかに「詩的に住まう」ことの意味を重層化しているのか、さらには、詩の中で実践される「詩的に住まう」態度が言葉と取り結ぶ関係とはどのようなものか、という問いを核心に据え、(1)土地と詩的空間の検討(2)他者性としての樹木への着目(3)土地の所有と言語借用の問題という三つの観点から20世紀フランス詩における詩的言語と土地、自然との関わりを検討するものである。 今年度はフランスにおけるエコポエティックの歴史と理論を、アメリカで発展したエコクリティシズムとの関係において捉え直した。その上で、エコポエティックと抒情性の問題についてランボーとポンジュのテクストを対象に考察を深め、その成果を第70回人間総合研究センター主催人間科学研究交流会で発表した。また、フランス語圏ケベックを代表する詩人であるエレーヌ・ドリオンの最新詩集『わたしの森』(2023)についてフランス現代詩研究会で発表を行い、当該詩集の書評を『文学と環境』27号(文学・環境学会)に投稿した。当初は計画されていなかった詩人およびテクストへの着目は、研究内容(2)との関連から導き出される必然的な帰結であった。さらに今年度は、20世紀フランス詩のエコポエティック研究の第三の展開として初年度から計画していた現代詩人シルヴィア・バロン・シュペルヴィエルについての研究を進め、2024年度中に成果を公表する見通しを立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の総括としてエコポエティックの歴史とパースペクティヴを整理することができたため。また、今後の研究の萌芽を多く得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もテクスト分析と理論的な整理を並行して行う。 2023年度は当初の計画では扱う予定のなかったテクストを研究対象とすることで、研究課題の目的を維持しつつ内容を深めることに成功した。来年度もこの方針を継続する予定である。
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