捜査公判協力型取引による虚偽供述の危険に対抗する手続保障のあり方について
Project/Area Number |
21K20095
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0105:Law and related fields
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
吉田 有希 中央大学, 法学部, 助教 (70908053)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2022-03-31
|
Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2021)
|
Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | 捜査・公判協力型取引 / 司法取引 / 協議・合意制度 / 捜査公判協力型取引 / 公判審理 / 協議合意制度 |
Outline of Research at the Start |
近時日本において導入された協議合意制度では協力者証人の虚偽証言の危険が問題視される。本研究は、標的者の事実認定に直結する公判審理に焦点を当て、司法取引先進国であるアメリカ合衆国の議論を参照し、①協力者証人による虚偽供述の性質や発生メカニズム、②虚偽証言に対抗する理想的な手続を明らかにすることにより、協力者証言の信用性を適切に吟味するための手続保障の解明を目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1) 公判における信用性吟味の役割を担う反対尋問権が協力者証言との関係でどのように機能しているか、(2) にもかかわらず手続保障が機能不全に陥っているのは何故か、という二つの課題を考察することを目的とした。まず、(1) について、アメリカ合衆国で類型化されている信用性の弾劾方法のうち、捜査・公判協力型取引に当てはまる偏頗に着目して分析を行った。合衆国最高裁判例によれば、証人の偏頗可能性は陪審員が証人の信用性を適切に推認するため必須の情報であって対決権の保障範囲に含まれるのであり、必ず反対尋問を許さなければならない。したがって、捜査・公判協力型取引の合意に関する情報は合衆国憲法上の保護を受けており、強力な保障になっている。一方で連邦控訴審の判断を総合するとその保障の範囲は量的なものではなく質的なものにとどまる。つまり、法的評価の上では取引を結んだこと自体が核心になるのであり、刑の減軽の程度は補充的だということが示唆される。(2) については、捜査・公判協力型取引の合意に至る経緯に注目して手続保障が働かない原因の探究を行った。協力者と捜査・訴追機関の交渉の過程で情報の汚染が生じたり、証人準備が行われたりすることによって協力者証人の信用性評価は困難になる。こうした問題に対抗するためには現状の反対尋問や証拠開示は十分ではなく、この点に手続保障が虚偽証言に対抗できない理由の一つがある。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)