Project/Area Number |
21K20106
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0106:Political science and related fields
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
河村 真実 神戸大学, 法学研究科, 助手 (30911242)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | リベラリズム / 多文化主義 / 文化権 / 関係論的承認主義 / キムリッカ / パッテン / 文化的少数派 / 内部少数派 / ナショナリズム / 社会統合 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、①文化維持に関する権利の必要性、②集団単位の権利と個人の自由の両立可能性、③西洋型多文化主義の日本への応用可能性という三つの論点に則し、ジョン・ロールズ以降のリベラルな多文化主義を巡る論争関係を明らかにする。その際、ロールズ的リベラリズムに基づき、先住民等の文化的少数派に対し、文化維持に関する集団単位の権利を保障すべきだとしたウィル・キムリッカら多文化主義第一世代、一時労働者や難民等にまで権利主体を拡大し、より積極的な国家的支援を支持する「新しい権利論」を提示したアラン・パッテンら第二世代、第二世代に対する批判勢力の議論を相互に比較し、多文化主義の今日的擁護可能性を解明する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究の第一の論点である、文化権の必要性に関する昨年度の考察を踏まえて、本研究の第二の論点である、文化権と個人の自由の両立可能性について、以下のような考察を行った。 (1)まず、少数派文化の維持を支援する文化権が、少数派文化集団の内部で抑圧されている女性や子どもなどの内部少数派の自由を侵害する可能性について検討した。その結果、①フィリップスに代表されるようなフェミニズムの立場からは、児童婚や性器切除などの抑圧行為を含む少数派文化が国家的保護を受ける場合、女性や子どもなどの内部少数派に対する人権侵害を助長する可能性が指摘されていること、②こうしたフェミニズムからの批判は、キムリッカに代表される多文化主義第一世代よりも積極的な国家的保護を主張するパッテンら第二世代に、より深刻な批判として向けられうることなどが、明らかになった。 (2)さらに、パッテンら第二世代が、上記(1)のような批判に対して、どのように応答可能かという点についても考察を行った。その結果、①第二世代の議論においては、リベラルな多文化主義の本来の目的が個人の自由の擁護であることに鑑みて、人権侵害を含む文化を保護対象から除外することができるという主張がなされていること、②しかしながら、保護対象の選別に関わる正当化根拠や基準については、具体的・直接的な言及は極めて希薄であるため、第二世代の新たな多文化主義の妥当性について、さらに詳細な検討が必要になること等の重要な知見が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、当初の計画通り、内部少数派保護に関する主要論者のテキストを分析し、パッテンら多文化主義第二世代の議論が、文化権と個人の自由の両立可能性に重要な示唆を与えていることを明らかにすることができた。しかしながら、本年度も新型コロナウイルスの影響が残る中、国外への移動が困難な状況が続き、計画通りに現地調査や資料収集を十分に行うことができず、文化権と個人の自由の両立可能性に関する考察にやや遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、現地調査や資料収集を行いながら、文化権と個人の自由の両立可能性に関する考察を完成させる。その上で、これまでの考察を踏まえて、ロールズ以降のリベラルな多文化主義を巡る論争関係の全体像を明らかにし、リベラルな多文化主義の擁護可能性に関する考察を進める。
|
Report
(2 results)
Research Products
(10 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 図録 政治学2023
Author(s)
西山 隆行, 向井 洋子, 阿部 悠貴, 安 周永, 石神 圭子, 小畑 俊太郎, 川口 雄一, 河村 真実, 佐藤 高尚, 下村 太一, 菅原 和行, 田上 智宜, 平野 淳一, 松尾 隆佑
Total Pages
146
Publisher
弘文堂
ISBN
9784335359415
Related Report