保育実践における規範に関する検討:園や保育者の保育観に着目して
Project/Area Number |
21K20262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
辻谷 真知子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (90906265)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 規範 / 保育観 / 共有 / インタビュー調査 / 質問紙調査 / グループインタビュー / 安全 / 面接調査 / 保育・幼児教育施設 |
Outline of Research at the Start |
乳幼児期の保育・教育において「道徳性・規範意識の芽生え」が重視されているが、子どもが実際に園で接する具体的な規範の内容やその背景については十分に検討されていない。本研究は、規範に関する保育者の考え方の傾向や要因とともに、保育者間での共有方法や過程を明らかにすることを目的とする。安全のための制限と子どもの経験など、保育者の判断に葛藤が生じやすい具体的な規範、ならびに子ども同士で規範を伝える場面に着目し、それらを題材として保育者への面接調査を行う。個人面接とグループ面接を実施することで園内での規範や保育観の共有方法やプロセスについても検討する。研究知見をもとに研修シートを作成し効果を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保育・幼児教育施設(以下「園」)における規範(きまり、習慣、ルール、約束等)に着目し、それらに関する保育者の実践や考えについて園内で共有するための視点や共有のプロセスについて明らかにすることである。当該年度での調査として2点を実施した。 第一に、前年度に引き続き、規範に関する個人の考えの傾向および保育者間での考えの可視化のプロセスを明らかにするため、同一の園での個人インタビューおよびグループインタビューを実施した。2023年2月までに7園32名の保育者の協力により調査を実施し、インタビューデータをもとに学会発表および論文執筆を行なった。個人へのインタビューデータの分析では特に園のきまりに関する保育者の判断や迷いの要因・背景に着目した。その結果、目の前の子どもの実態だけでなく、保育者としての考えや立場、園の方針や他の保育者の考え、さらに保護者や園外社会というように多層的な要因や背景の存在が明らかになった。グループインタビューでは、園の中でも異なる判断がありうる内容においてどのように考えが共有されるのかに着目して分析し、学会発表を予定している。 第二に、規範に関する保育者個人の判断について経験年数や立場等を含め体系的に明らかにすること、および安全と人間関係の両面から迷いが生じやすい戦いごっこに関する判断の多様性について検討することを目的として、オンラインでの質問紙調査を実施した。その結果について分析検討し、学会発表を行なった(予定含む)。 さらに2019年に実施した質問紙調査の分析を進め、安全に関するきまりと関連の深い「けが」についての捉え方についての回答の分析から、保育者の経験年数や在園児の年齢(3歳未満児在籍有無)との関連が示され、学会誌論文にて報告した。また保育者の自由記述回答をもとにした規範に関する迷いの実態についての分析結果も論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度で予定していた2点の調査について実施することができた。第一に前年度に続いてのインタビュー調査、第二に新たな質問紙調査である。第一のインタビュー調査に関しては、新たにデータが加わったことで十分な多様性が確保され、分析をさらに進めることができ、論文としてまとめるに至った。グループインタビューに関しては現在分析中であり、学会発表を予定している。ただし、協力園以外の多様な園において適用できるような枠組みとして示すにはまだ課題があると考えている。 第二の質問紙調査では、新型コロナウイルス感染症の第七波と重なったことから予想よりも回答数が少なかったが、分析可能なデータ数が得られた。ただし全体の傾向を反映しているかについては慎重な判断を要するため、今後の分析結果に応じて、追加での調査を計画したい。この質問紙調査において、保育者が子どもに規範を伝える際の判断のあり方の多様性について検討し、保育者による相違について分析し学会発表を行なった。 成果発表は全体として、2点の学会発表と2点の論文化、さらに2点の論文投稿を進めることができた。期間を延長し、未発表の内容に関して2023年度中に報告を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は今年度も延長しての実施を行う。その中で、以下3点について検討する。 第一に、グループインタビュー調査で得られたデータをもとに、園の中での規範に関する考えの共有のあり方について有用な視点が何かを検討する。合わせて各園の種別や設置主体、協力者の経験年数や立場など、園の状況によりその考えの共有のあり方の異なる点や共通する点についても分析を進める。これらの結果について学会での報告を予定している。 第二に、質問紙調査の結果をもとにして、保育者が規範を子どもに伝えるかどうか判断する際に何を重視するのかについての分析を行いすでに学会発表をしているが、その際の議論を踏まえてさらに分析を進め、論文化を予定している。 第三に、質問紙調査をもとに、戦いごっこに関する保育者の判断についての分析を行なっており、国際学会での報告を予定している。この点について、国内外の先行研究での位置付けをさらに検討するとともに、国際学会での議論を踏まえての論文化を予定している。
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Report
(2 results)
Research Products
(24 results)