Project/Area Number |
21K20324
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0201:Algebra, geometry, analysis, applied mathematics,and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日下部 佑太 京都大学, 理学研究科, 助教 (60913861)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 岡の原理 / 岡多様体 / Stein多様体 / Levi問題 / 擬凹性 / 正則直線束 / Hermite計量 / Chern曲率 / アファイン代数多様体 / 楕円性 / 補間定理 / 基本群 / ホモトピー型 / 擬凸性 / 正則写像 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、岡の原理の微分幾何学的側面や代数幾何学的側面を解明することにより多変数関数論及び幾何学双方の発展を促すことである。 岡の原理とは多変数関数論におけるホモトピー原理のことで、岡潔やGrauert、Gromov、Forstnericらにより岡多様体論へと発展した研究対象である。 Gromov予想の解決を根拠として岡多様体は双曲多様体と複素幾何学的に真逆の性質を持つため、他の幾何学的側面においても真逆の性質を持つのではないかということが本研究の核心をなす問いである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究により解明を目指す岡の原理の幾何学的側面の一つとして、複素多様体内の領域の岡性とその領域の境界の幾何学的性質の関係があった。この問題は、多変数複素解析においてその黎明期からずっと中心的な問題であったLevi問題の双対版とも解釈される基本的かつ重要な問題である。研究代表者のこれまでの研究結果から、領域の岡性は境界の擬凹性と深く関わることが期待されている。 本年度は主に上記の双対Levi問題について研究を進め、Ljubljana大学のForstnericの元に滞在して新たな研究結果を得ることに成功した。具体的には、コンパクト複素多様体上の正則直線束にHermite計量を与えた際に、その計量の曲率と、計量から定まる単位円板束の岡性の関係についての研究を行なった。Hermite計量に付随する単位円板束の境界の擬凹性は、Hermite計量の曲率が半正になることと同値であり、この条件を満たす際に付随する単位円板束の岡性が期待できる。研究代表者らは主な結果として、ある自然なクラスのコンパクト岡多様体上の豊富直線束とその半正Hermite計量が与えられた際に、付随する単位円板束が岡多様体になることを示した。この結果は、冒頭で述べた岡性と疑凹性の深い関係の新たな根拠となるものである。 この研究結果から、ある状況下では複素多様体内の部分多様体が岡近傍基を持ちうるという、新たな複素幾何学的現象も発見された。今後は双対Levi問題の研究と関連して、より一般の状況から岡近傍基がいつ存在するかという問題を考えることも重要になってくると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンパクト複素多様体上の正則Hermite直線束に対して双対Levi問題を研究することで、本研究の目標の一つである岡の原理の微分幾何学的側面の解明に関して大きな進捗が得られたため、研究は順調に進展していると考えられる。 また今年度得られた結果は、負曲率をもつ正則Hermite直線束の零切断が擬小林双曲近傍基を持つという真逆の事実に対応するものであり、岡性と小林双曲性が真逆の性質であるという本研究の基盤を一層強化するという意味でも重要な進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度得られた結果をどこまで一般化できるのかという問題を考えることで、どのような状況で擬凹性から岡性が導かれるのかという双対Levi問題の解決を目指す。具体的にはまず、任意のコンパクト岡多様体上の正則Hermite直線束に今年度得られた結果を一般化できるかどうかを調べる。 また、この方向の最終的な目標として、複素射影平面内のLevi平坦面の非存在予想の解決を試みる。
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