Project/Area Number |
21K20367
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0203:Particle-, nuclear-, astro-physics, and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古賀 泰敬 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (60910891)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ブラックホール / ブラックホールシャドウ / フォトンスフィア / 重力崩壊 / 光の赤方偏移 / 一般相対性理論 |
Outline of Research at the Start |
宇宙で最も強い重力を持つ天体であるブラックホールは、背景の光源に照らされると影として観測される。 これをブラックホールシャドウという。ブラックホールシャドウは、フォトンスフィアというブラックホール近傍の時空構造によって形成されると言われている。しかしこれが明らかなのは限られたブラックホールモデルの場合だけであり、特にブラックホールが動的に変化する場合の理解は乏しい。 この研究では、いくつかの動的ブラックホールモデルにおいてブラックホールシャドウとフォトンスフィアの関係を明らかにする。またそれにより、将来的な観測においてブラックホール周辺の情報がどのように得られるか、示唆を与えることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
ブラックホールシャドウの形成には、赤方偏移の効果も本質的な役割を担っている。本年度は重力収縮する天体の赤方偏移について、一般の天体の場合の解析を行った。一般の天体の場合においては、天体のダイナミクスと光の赤方偏移を直接結びつける公式を新たに提唱することができた。この公式では、光のエネルギーの新たな定義の提案をした上で、そのエネルギーの変化が幾何学的に決定されることを見出した。一般相対論において時空の幾何学と天体のダイナミクスが結びつくことから、光のエネルギーの変化、すなわち赤方偏移が天体のダイナミクスと結びつくことを示した。この公式を利用し、前年度までの研究結果がより一般に成り立つだろうと結論づけた。すなわち、重力崩壊は基本的に光の赤方偏移を起こし、逆に膨張のようなダイナミクスは青方偏移を起こす。この結果は複数の国際会議や研究会で報告した。この研究は安積伸幸氏(TDSE)、木村匡志氏(第一工科大学)、岡林一賢氏(京都大学)との共同研究である。 また関連する研究として、質量降着するブラックホールの重力波や周辺天体の軌道の解析、回転ワームホールの解析など複数の研究が進行中であり、それぞれ大橋氏、Palomino氏、上道氏(いずれも名古屋大学)を筆頭に解析を進めている。 また新たにスタートした関連研究も複数あり、国内外の研究機関の研究者らと打ち合わせをしながら進めている。これらの研究では、これまでのフォトンスフィア(=光の円軌道)の研究結果に基づいた解析を行っており、実際の観測に関する予言を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は概ね順調に進行したが、計画当初に想定していなかった重大な結果を得た。そのため、その他業務との兼ね合いもあり、結果をまとめるために多少時間を要している。また関連研究も増えており、それらの完成にももう少し時間を要する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな研究成果はすでに得ていて、まずはそれをまとめ論文を投稿する。まとめる段階で新たな研究へと波及する可能性もあるので、随時共同研究者と打ち合わせをしながら進めていく。特にこれまでに扱わなかった非球対称な状況設定については、有効な解析方法を優先的に模索し、一年間で可能な解析を行う予定である。
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