熊本地震における災害公営住宅の計画意図と居住者ニーズの適合性に関する研究
Project/Area Number |
21K20472
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0304:Architecture, building engineering, and related fields
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
渕上 貴代 近畿大学, 産業理工学部, 助教 (30907936)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 熊本地震 / 災害公営住宅 / 公有住宅 / 仮設住宅 / 被災者 |
Outline of Research at the Start |
熊本地震により整備された災害公営住宅は2020年3月末をもって全てが竣工し、現在被災者は新しい暮らしに慣れてきた時期である。 本研究では、行政による災害公営住宅の発注方法や住居形式の決定理由を調査し、各市町村の被害状況や住宅政策の違いを踏まえた上で傾向を分析している。設計者に対しては、ヒアリング調査や図面等の資料収集を行っている。今後は、住民の住まい方や使い方調査を中心に行う。 上記の調査から行政や設計者の意図と住民のニーズを照らし合わせ、熊本地震における災害公営住宅の計画の適性について考察することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
熊本地震により整備された災害公営住宅は2020年3月末をもって全てが竣工し、現在被災者は新しい暮らしに慣れてきた時期である。そのため被災者の暮らしに着目した調査研究が可能となってきたと言える。これまでの研究では、行政による災害公営住宅の発注方法や住居形式の決定理由について、自治体担当者へのヒアリング調査を元に、各市町村の被害状況や住宅政策の違いを踏まえて傾向を分析してきた。一部の設計者に対しては、ヒアリング調査や図面等の資料収集を行った。本研究では、住民による住まい方や使われ方調査を中心に行っているところである。以上の調査から行政や設計者の意図と住民のニーズを照らし合わせ、熊本地震における災害公営住宅の計画の適性について考察することを本研究の目的としている。 2021年度は緊急事態宣言や重点措置が発令され県外への移動ができない時期が続いたが、2022年度は被災者にヒアリング調査を行うことができた。住民の滞在状況によってばらつきはあるものの、全ての木造災害公営住宅で調査することができた。 2022年度の研究成果としては2つ挙げられる。1つ目は屋外の床仕上げや植栽から外構の管理状況と居住者間交流について分析した。外構の管理は住民で行うのが主であるが、自治体主導や住民個人で行う管理、一斉清掃など団地ごとに異なっているが、特に芝の場合、芝刈り機を持っている住民が限られていることから一斉清掃を行い交流のきっかけとなっている事例が多く確認できた。 2つ目は平面計画におけるコミュニティへの配慮について、設計者の意図と住民の使われ方を比較した。今回は出入り口に土間やアルコーブのある4つの団地に着目した。東日本大震災で整備された災害公営住宅ではリビングアクセス型住戸が多く採用されたが、リビングアクセスではなくてもコミュニティ形成や見守りを促す設計の工夫が役立っていることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では災害公営住宅居住者へのヒアリングをメインの調査方法としているが、2021年度はコロナ禍で緊急事態宣言や重点措置が数回発令され県外への移動ができない時期が続いたため、進捗が大幅に遅れている。調査できた際でも、大勢との接触がないように外からの住戸廻りの様子から表出物について記録した程度で、居住者とは積極的にコミュニケーションを取ることができていない。そのため、表出物からコミュニティの形成をある程度予想することしかできず、コミュニティの実態を把握するところまでは至らなかった。 2022年度は居住者へのヒアリング調査を行うことができたため、2021年度分は取り返すことができた。しかし、熊本地震全体の総括や東日本大震災からの一連の流れをまとめるまでには至っていないため、約一年弱分は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は補助事業期間を延長して研究を続けるが、2022年度までに被災者や設計者のヒアリング調査は一通り終えることができた。しかし、熊本地震全体の総括や東日本大震災からの一連の流れをまとめるまでには至っていない。また、住民の生活実態と設計者の意図の比較を行うことが本研究の目的の一つであるが、4つの住宅団地についてまとめることができたが、それ以外の団地についても順次整理していく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)