Project/Area Number |
21K20646
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0701:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
斎藤 慧 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 助教 (10908007)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 微小管 / キネシン / 紡錘体 / 一分子イメージング / TPX2 |
Outline of Research at the Start |
真核生物が分裂する際に作られる紡錘体は、細胞骨格である微小管とキネシン等のモータータンパク質が自律的に集積することで染色体分配に適した双極構造をつくる。ナノメートルサイズの分子の集合がマイクロメートルサイズの紡錘体に組み上がる仕組みは未解明である。本研究では微小管架橋において重要な役割を果たす4量体キネシンに着目する。キネシンが微小管を架橋するシステムを観察チャンバー内で再構成し、力学的な摂動を加えながら観察して、適切な向きの微小管架橋を生じる仕組みを解明する。また、電子顕微鏡を用いて分子の構造を可視化することで、キネシンの構造や向きが微小管架橋に与えるメカニズムを視覚的に理解する。
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Outline of Annual Research Achievements |
4量体キネシンは紡錘体形成に必須のモータータンパク質であり、本研究課題では4量体キネシンが複数の微小管の架橋および滑り運動を引き起こす機能とその構造的基盤を、制御タンパク質のTPX2との関わりに着目して解析してきた。前年度までに4量体キネシン(キネシン5)とTPX2の組換え体タンパク質を精製し、4量体キネシンの微小管上での振る舞いに対してTPX2が及ぼす効果を一分子蛍光イメージングにより評価する系を確立して、キネシン5の微小管結合と運動機能に対してTPX2が阻害的に働くことが明らかになった。今年度はTPX2によるキネシン5の機能制御効果の定量的な解析を進めた。TPX2が結合した微小管上での蛍光標識キネシン5の運動軌跡を取得して、TPX2なし微小管上の運動軌跡と比較したところ、速さと拡散がいずれも低下した。効果の程度はTPX2の濃度やアッセイ溶液の環境により大きく異なることが分かった。また、キネシン5と微小管を混合してネガティブ染色法により電子顕微鏡観察を行い、微小管に結合したキネシン5が分子ごとに多様なコンフォメーションをとることが可視化された。4量体であるキネシン5は分子全体が双極構造をとり、一般的な2量体キネシンに比べて、微小管上で機能する際の構造は十分に研究されておらず、4量体キネシンに特有な運動機構を理解する上で全体のコンフォメーションの理解が重要となる可能性がある。蛍光観察から得られたキネシン5の運動制御機構と電子顕微鏡観察から得られた微小管結合キネシン5の構造についての知見は、紡錘体形成においてキネシン5が微小管を特定の高次構造に組織化するメカニズムの解明につながると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの研究により、キネシン5の微小管結合性および運動性がTPX2により制御されることが明らかになった。今年度は特にこの制御の分子機構を解明することを目指して基礎的なデータを得ることができたが、微小管・キネシン5・TPX2の三者の相互作用を説明するモデルを構築するには至らなかった。また、当初仮説を立てていたキネシン5内部のフレキシビリティーを示唆する観察結果を得た。TPX2によるキネシン5の構造変化についてはまだ十分に検証できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
TPX2によるキネシン5の機能制御機構の詳細を明らかにするため、微小管を介さずにTPX2が直接キネシン5と安定的に相互作用し得るかどうか、生化学的手法や蛍光イメージングにより測定する予定である。また、TPX2がキネシン5の全体構造に及ぼす効果について電子顕微鏡もしくは高速原子間力顕微鏡法により可視化することを目指す。
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