炎症性腸疾患の難治化における抗癌剤感受遺伝子Schlafen11の臨床的意義
Project/Area Number |
21K20887
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0902:General internal medicine and related fields
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
村井 康久 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (10910458)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | Schlafen11 / 炎症性腸疾患 / 潰瘍性大腸炎 / SLFN11 / 腫瘍生物学 |
Outline of Research at the Start |
本邦における炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease; IBD)の新規登録数は増加傾向であり、その病態解明並びに診断・治療戦略の構築が急務となっている。近年、IBDの内科的治療成績は進歩したが、難治性症例や炎症性発癌により手術を要する症例も依然存在する。IBDにおけるSLFN11発現の評価は、治療薬選択並びに腸管病変検査の最適化につながると考えている。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度に主に実施した研究の成果は以下の通りである。 (1)SLFN11高発現例に有効な免疫統御療法の検索;UC症例の生検サンプルにおけるSLFN11と各種サイトカインのmRNA発現をPCRを用いて比較検討した。SLFN11とIL22RA1の発現に有意な負の相関を認め(r=-0.43,p=0.0002,n=69)、TGFB1との間には弱い正の相関を認めた(r=0.23,p=0.05,n=71)。米国国立衛生研究所のcell miner CDBを基にしたcolonic adenocarcinoma cell lineでの検討においても、IL22RA1と負の相関、TGFB1と正の相関を認め、我々のデータを支持する結果であった。一方、TNFαの発現とは、有意な正の相関は認めらなかった。以前より、IFN-JAK pathwayによりSLFN11の発現は修飾されることが報告されており、in vitroモデルとして種々のがん細胞株ではTofacitinibを含むJAK阻害薬によりSLFN11の発現が低下することが示された。 (2)Tofacitinibによるヒト腸管上皮細胞におけるSLFN1発現の変化;難治性UCでTofacitinibにて加療した症例(n=10)を抽出して、SLFN11発現の推移を後方視的に検討した。臨床的または内視鏡的に改善が得られた有効例7例と無効例3例が含まれていた。IHCでは特に腸管上皮細胞においてSLFN11発現が亢進しており、Tofacitinib奏功後は可逆的にSLFN11が低下することを観察した。major intensity scoreの検討では、tofacitinib有効群でSLFN11陽性例が多く、さらにH-scoreを用いた解析でもtofacitinib有効群でSLFN11のスコアが高いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は令和3年度後期(10月)より始動となり、実験環境整備に時間を要した。また、潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患の症例サンプル並びに健常コントロールサンプルが当初の予定より確保できていない。また、研究代表者が学外へ異動となり、研究に充てる時間の制約が生じており、研究遅れている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)関連施設等にも協力を仰ぎ、炎症性腸疾患症例のサンプル収集を進める。ステロイド反応良好例ならびに抵抗例の症例も蓄積する。 (2)各種免疫統御療法で寛解導入した症例を追跡し、SLFN11の発現変化を検討することで、SLFN11陽性症例への特に有効な治療候補を検討する。 (3)潰瘍性大腸炎のオルガノイドモデルでは時間と費用のコストがかかるため、SLFN11陽性の大腸癌セルラインを代替とした実験系を確立する。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)
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[Presentation] Schlafen11 is a potential biomarker for mucosal residual inflammation and a target for JAK inhibitor therapy.2022
Author(s)
Yasuhisa Murai, Hirotake Sakuraba, Hiroto Hiraga, Keisuke Hasui, Shukuko Yoshida, Hidezumi Kikuchi, Kohei Ogasawara, Naoki Higuchi, Yohei Sawada, Tetsuya Tatsuta, Shogo Kawaguchi, Yui Akemoto, Daisuke Chinda, Tatsuya Mikami, Akira Kurose, Shinsaku Fukuda
Organizer
The 10th Annual Meeting of Asian Organization for Crohn’s & Colitis
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[Presentation] 潰瘍性大腸炎の難治化における Schlafen11発現の臨床的意義2022
Author(s)
村井 康久, 櫻庭 裕丈, 平賀 寛人, 蓮井 桂介, 吉田 淑子, 菊池 英純, 小笠原 公平, 樋口 直樹, 澤田 洋平, 立田 哲也, 川口 章吾, 明本 由衣, 珍田 大輔, 黒瀬 顕, 福田 眞作
Organizer
第59回日本消化器免疫学会総会
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[Presentation] SLFN11の小胞体ストレスと異常タンパク応答抑制機能とSLFN11陰性腫瘍に対する新たな治療戦略への期待2021
Author(s)
村井 康久, Ukhyun Jo, 村井 純子, Lisa M. Jenkins, Shar-Yin N. Huang, Sirisha Chakka, Lu Chen, Ken Cheng, 櫻庭 裕丈, 福田 眞作, Naoko Takebe, Yves Pommier
Organizer
第44回日本分子生物学会年会
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