失語症例を対象とした同音擬似語を用いた読字能力評価の有用性に関する研究
Project/Area Number |
21K21226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0909:Sports sciences, physical education, health sciences, and related fields
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
橋本 幸成 目白大学, 保健医療学部, 専任講師 (90909855)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 意味性錯読 / 同音擬似語 / 語彙性判断課題 / 音読課題 / 障害構造 / 失語症 / 症例報告 / 表層失読 / 読字評価法 / 進行性疾患 / 失語症評価 / 症状分析 / 検査 |
Outline of Research at the Start |
言語処理モデルに基づく科学的な読字能力の評価において、同音擬似語の役割は重要である。しかし、本邦において同音擬似語を刺激群として設定した音読検査、語彙性判断検査は存在しなかった。そこでわれわれは、日本語の漢字を使った同音擬似語 (例:険査) の刺激群を作成し、失語症例の読字障害を検討する試みを開始した。開発した評価法は、健常成人に対する調査を終えて、検査としての妥当性と信頼性が確認されている (橋本ら 2018)。本研究では、この評価法を失語症例に適用し、症例集積研究の方法を適用した上で、全体的傾向および各症例に対する分析の双方を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、同音疑似語の文字刺激を含む語彙性判断課題を実施することで、失語症者の障害構造を詳細に検討することを目的としている。同音疑似語とは、例えば[険査]のように、音列の「けんさ (検査) 」にすると実在語になるが、文字列としては非実在語になる刺激である。また、語彙性判断課題とは、呈示される文字列が実在語であるか非実在語であるか判定してもらう言語検査である。同音疑似語[険査]の場合、音列の情報にすると非実在語になるため、語彙性判断課題においては文字列の情報を正確に捉える必要があり、文字列の知識を評価する上で有用な刺激となる。 当該年度は、本課題を失語症複数例の評価に適用して、症例別に障害構造を検討した。同音疑似語は軽度の失語症例における文字列の処理能力を評価することが可能であるが、当該年度に取得した結果では、全失語症例において同音疑似語の語彙性判断課題における成績低下を認めた。また、漢字二字の抽象語(例:返信)の音読課題で意味性錯読(返信→「レンラク」のような音読の誤り)が頻繁に観察された症例において、本課題の成績が低下する現象が認められた。この症例については、その他の言語検査の結果を含めて音読障害の発生機序を詳細に検討し、国際学会であるThe 8th Annual Conference for the Association for Reading and Writing in Asia (ARWA 2024)にて発表した。日本語の漢字を用いた評価法に関する報告であったため、文字種と障害構造の関係に興味のある海外の研究者から多くの質問を受けた。また、英語圏の先行研究を紹介され、研究成果をまとめるにあたり有益な情報を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題が開始した2021年度は新型コロナウイルス感染症が流行していたため、医療機関への研究者の訪問や、臨床現場への介入が非常に難しい状況であった。そのため、データ収集の進行が遅れる状況が継続した。2023年度からは、医療機関におけるデータ収集は比較的実施しやすい状況となり、臨床例のデータも取得できるようになった。また、研究者自身が医療機関を訪問して、直接検査を実施したり、脳画像等の医療検査の結果を確認することも部分的に可能になった。このように、研究初年度および2年目の新型コロナウイルス感染症の流行による研究の遅れを補えるようになったが、研究全体としてはやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を推進させるために、研究協力者との連携を強化するとともに、研究代表者自身が医療機関等におけるデータ収集を行えるよう研究に費やす時間を確保する。データ収集を終えたら、速やかに成果報告が行えるようにデータの解析と論文の執筆を進める。データ解析については、一般化線形混合モデルを用いる予定であるが、データ収集の途中段階で一度実施しているため、目標症例数に達した時点ですぐに実施することができる。論文執筆に関しても、過去に自身が報告した論文を引用して書き進められるよう、その他の先行研究とともに文献を整理する。また、先行して執筆可能な部分については、データ収集を終える前に書き進める。
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)