Project/Area Number |
21KK0008
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 3:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
前田 修 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20647060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千本 真生 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (10772105)
黒澤 正紀 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50272141)
有村 誠 東海大学, 文学部, 教授 (90450212)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2025: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 考古学 / 西アジア / 交易 / 黒曜石 / ビチュメン |
Outline of Research at the Start |
本研究は、西アジアの先史時代に見られる交易ネットワークの発達と社会発展の関連性を、一次資料にもとづいて実証することを目指した考古学研究である。西アジアの遺跡から出土する黒曜石・ビチュメン(アスファルト)・土器の産地を理化学的分析手法によって同定し、これらの物資の交易ネットワークの実態とその時間的変遷を考察することで、交易活動が果たした社会的・経済的役割をあきらかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、考古学的手法による一次資料の分析によって、西アジアの先史時代における交易ネットワークの発達と社会発展の関連性を実証することを目指している。 研究方法として、(1) 西アジア各地の遺跡から出土する黒曜石・ビチュメン(アスファルト)・土器の原産地を理化学的分析手法によって同定し、(2) これらの物資の遠距離交易ネットワークの実態とその時間的変遷を考察することで、この時代の交易活動が果たした社会的・経済的役割をあきらかにすることを目標としている。マンチェスター大学での機器分析とアルメニア共和国でのフィールド調査を中心に、5年間の研究を実施する計画である。 2022年度の研究においては、夏季にイラク・クルディスタン地域シャフリゾール平原においてフィールドワークを実施し、新石器時代遺跡の発掘調査をおこなうことで黒曜石製石器資料およびビチュメンが付着した土器資料を入手することができた。また、調査期間中に近隣のビチュメン産出地であるBashi Pirq地区で踏査をおこない、天然に湧出しているビチュメンを確認するとともに、産地資料を採取することに成功した。今後のビチュメン産地同定のための貴重なデータとなる。 発掘調査で出土した黒曜石については、共同研究者であるマンチェスター大学のスチュアート・キャンベルらとともに携帯型蛍光X線分析装置を用いて産地同定分析をおこない、南東アナトリアの産地であるビンギョル、ネムルート・ダー、メイダン・ダーの黒曜石が、産地から500キロメートル近く離れたシャフリゾール平原に運ばれたことがあきらかになり、新石器時代の物資交易ネットワークを解明するための重要なデータとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、イラク・クルディスタン地域でのフィールド調査を2022年度に実施することができ、研究に必要な考古資料を十分に入手することができている。 また、昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響による海外渡航の規制のため、イギリスに渡航してマンチェスター大学の共同研究者と黒曜石分析を実施する予定を延期することになったが、2022年度には、マンチェスター大学の研究者が2023年2月に来日し、2021年度から延期していた研究の打ち合わせをおこなうとともに、携帯型蛍光X線分析装置を用いた黒曜石資料の産地同定分析を実施することができた。フィールド調査から得られた筑波大学収蔵の黒曜石製石器のほか、東京大学総合研究博物館収蔵資料を分析するとともに、研究分担者の有村が東海大学に保管するアルメニアの遺跡から出土した黒曜石製石器、おなじく研究分担者の千本が所属する古代オリエント博物館が所蔵するイラクの黒曜石製石器を分析した。合計で約1500点の資料を分析することができ、極めて有意義なデータベースを構築することに成功している。 さらに土器の胎土分析に関しては、研究分担者の有村がアルメニアで入手した黒曜石粒を胎土に含む土器の胎土分析を開始している。研究分担者の黒澤と千本が薄片試料を作成し、SEM-EDSによる分析を進めている。 ここまで、研究期間1年目、2年目の計画は順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度も引き続きイラク・クルディスタン地域でのフィールドワークをおこなうとともに、黒曜石資料、ビチュメン資料、土器資料の分析を進展させる。 黒曜石資料の分析は、イギリスに渡航し、マンチェスター大学において実施する。1週間程度の渡英を予定している。また、2023年度中に、アルメニア科学アカデミーの研究者らとともにアルメニア共和国でフィールド調査を実施して原産地黒曜石資料を入手し、それらをさらにマンチェスター大学で分析する。 ビチュメンの分析に関しては、これまでの分析結果を論文としてまとめ、研究成果を公表することを第一に進める。その後、これまでの研究成果をもとに分析方法を洗練させ、新たな資料の分析を開始する。 土器分析に関しては、今年度に入手した黒曜石を混和剤に含むアルメニアの土器資料の分析を進める。胎土に含まれる黒曜石の産地同定、その他の鉱物の産地を分析するとともに、土器の焼成温度をあきらかにする。 それぞれの分析結果は論文としてまとめ、順次、英文ジャーナルに投稿する。
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