アメリカ日系人強制収容所における日本庭園群の調査による日米協力体制基盤の構築
Project/Area Number |
21KK0010
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 3:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
五島 聖子 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (80745216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 勝則 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (10238694)
水内 佑輔 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40768602)
西坂 涼 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 特任研究員 (50868198)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | グラナダ日系人強制収容所 / アメリカの日系移民 / 日本庭園 / 遺跡 / マンザナール収容所 / グラナダ収容所 / 和文新聞記事 / アメリカ日系人強制収容所 / 修復計画 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本とアメリカの国際共同研究グループにより、第2次世界大戦中アメリカ日系人強制収容所に造成された日本庭園の実態を調査し、現存する資料に基づいて庭園の修復計画と庭園整備後の活用計画を提案する。具体的には、日本庭園が多く発掘されているマンザナールとグラナダの2つの収容所史跡を対象とし、日本の若手研究者2名を含む国内外の優れた研究者グループによって研究を進める。これらの対象地で収集された手記や写真等の資料の整理・分析と発掘された庭園の現地調査により、収容所中の日本庭園が果たした役割と意義を解明するとともに、庭園の造成に関わる意匠と技法を明らかにし、庭園の修復計画および活用計画の提案をする。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度はコロナ禍の規制緩和がされたため、ロサンジェルスの日系博物館での資料収集、生存者及び関係者へのインタビュー、そしてグラナダ日系人強制収容所の現地調査に赴くことができた。グラナダ日系人強制収容所は、研究協力者Clark の案内で調査を行った。Clark は、2008年以来コロラド州グラナダ日系人収容所の発掘調査を主導してきた考古学者で、デンバー大学人文学科で教鞭を取る教授である。クラークと共に、これまで発掘された遺跡と遺品の確認をした。グラナダ日系人強制収容所は、1994年には国定史跡に指定され、さらに国立公園となることが決定されている (nps.gov)が、現在は収容所バラックと監視塔が荒野の中に復元されているだけであり、多くの建物や庭園が復元されなくてはならないこと、多くの庭園遺跡が発掘されているが、現地の研究者に日本人がいないので、文献の検討や日本庭園遺跡の考証に至っていないことを確認した。 文献調査としては、日系人博物館において古写真や雑誌の切り抜き資料を閲覧し、アメリカの日系移民史、収容所の庭園造成のリーダーシップを取った日系造園家の系譜、カリフォルニア日本庭園協会の活動史を調査した。また、当時の日系人のアメリカでの造園業の様子を調査するために、日本庭園協会に残される当時発行された雑誌「ガーデナーズの友」を入手した。これらの資料の他に、収容所内で発行された新聞の日本語誌面を詳しく解読し、データとしてまとめた。 グラナダ日系人収容所には多くの庭が作られたが、日本庭園として発掘されたものは2つだけである。しかし、この小さな庭の造成において、収容された人々に及ぼした影響はかなり大きかったことが、残された庭の形態と資料から伺うことができた。今回の現地調査では、現地で撮影した庭の遺跡のビデオを3D化し、復元モデルを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年時にコロナ禍のために現地調査に行けなかったため、全体的に遅れが生じている。しかしながら、今年度はグラナダ日系人強制収容所跡地の現地調査に行くことができ、海外研究協力者と連携を強めることができた。また、現地の研究協力者の協力により、庭園遺跡の撮影を完了し、データを3D化することができた。また、ロサンジェルス日系人博物館とカリフォルニア日本庭園協会を尋ね、戦前の文献資料を調査しデータを入手することができたとともに、現地の学芸員や協会のスタッフの聞き取り調査を行うことができた。 現在までのところ、日本庭園協会で発行された「ガーデナーズの友」の中で、戦前に掲載された日本庭園に関する記事、グラナダ日系人強制収容所で発行された新聞の日本語紙面に掲載された詩歌全てを書き抜き、当時の日系庭師の日本庭園に対する認識と、詩歌に読まれた強制収容所の風景と人々の心情をまとめた。また、グラナダで日本庭園を造成した日系人の出身地や経歴を調査し、どのような人物が庭園造成のリーダーシップを取ったかをまとめた。現在、グラナダの庭園に関するこれらの調査結果を論文としてまとめている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はグラナダ強制収容所の研究をさらに進めるとともに、マンザナール強制収容所の現地調査を行う。2023年度6月には、マンザナール国立公園に赴き、研究協力者Jeff Berton の案内で現地を調査する。マンザナールでは、庭園の復元3D模型をビジターセンターに展示することを希望しているので、これまでに作成した3Dモデルデータと資料をもとに、復元モデルを作成する。 2022年度に現地調査をしたグラナダ日系人強制収容所では、花壇を中心とする多くの庭が造成されていたが、その中で日本庭園と呼べる庭はわずかであった。それに対してマンザナール日系人強制収容所では、造成された庭のほとんどが日本庭園であった。今後は、同じカリフォルニア出身の日系人収容者が、なぜマンザナールにおいて膨大な日本庭園の造成に至ったのか、その理由を中心に両者の収容所を比較検討する。 マンザナール日系人強制収容所現地調査結果は、2023年度中にまとめ、グラナダ日系人強制収容所の調査結果と合わせて2024年春に開催予定のNorth American Japanese Garden Association の国際学会で発表する予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)