Project/Area Number |
21KK0018
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 5:Law and related fields
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川和 功子 同志社大学, 法学部, 教授 (70295731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 恒雄 同志社大学, 同志社大学, 嘱託研究員 (20127715)
芦野 訓和 専修大学, 法学部, 教授 (40298039)
馬場 圭太 関西大学, 法学部, 教授 (20287931)
永岩 慧子 愛知学院大学, 法学部, 准教授 (90805582)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | 消費者法 / EU法 / アメリカ法 / 契約法 / 不法行為法 / デジタル社会 / デジタルプラットフォーム / ダークパターン / 製造物責任法 / デジタルコンテンツ / プラットフォーム / オンライン取引 / デジタル・コンテンツ / デジタル・サービス / 民法 / イギリス法 / ドイツ法 / 救済 |
Outline of Research at the Start |
近年、ソフトウェア、ゲーム、動画や音楽の配信、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)、クラウドサービスといったデジタル技術を用いた取引(以下「デジタル取引」という)において多くの消費者がトラブルを経験している。このようなデジタル取引について先進的な制度を構築しつつあるEU法・加盟国法、アメリカ法等と日本法との比較検討を現地の研究者と協働して行うことによって、消費者の利益保護を図ると同時にデジタル取引を産業として健全に発展させることに配慮した、あるべき法的枠組みを探究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
川和:比較法学会においてアメリカ消費者法:現代化の諸相と題するテーマで報告、論文を公表し、ブリュッセル自由大学での国際会議での報告をもとにプラットフォームの責任についての論文を公表した。センター長を務める同志社大学デジタル法制研究センター主催・共催の研究会を合計8回開催し、司会やデジタル社会の法制度についての研究手法、ダークパターン法制に関する比較法的研究に関する報告を行った。 松本:デジタル社会において、消費者として無料で各種のサービスを受けられる状態が増加していることから、日本の消費者保護関係法制における有償契約と無償契約の問題について、EUのデジタル・コンテンツ指令と比較しつつ検討した。また、ギャンブルの広告勧誘について、オンライン上で行われる場合と青少年向けの場合について検討した。 芦野:デジタル社会におけるデジタル・プラットフォーム提供者の役割の重大な役割に鑑み、その責任について、現在法制度の対応が検討されている日本と比較し、ドイツではすでにいくつかの判例も出ていることから、日本およびドイツにおける現在の法制度を研究し、その理論的解決《解釈》可能性について研究した。 馬場:日欧のデジタル・コンテンツ法制、とりわけフランスおよびベルギーにおける国内法化の動向を研究し、口頭報告および論文の公表を行った。フランスにおける契約の特種化論に示唆を受け、消費者契約・民事契約・商事契約の関係を整理する理論枠組みを構築し、その中に新種の契約類型を位置づけることを目指す研究を行った。 永岩:取引対象のデジタル化に対応する法制度として、現代化指令のドイツにおける国内法化とドイツ独自の消費者保護立法の状況を中心に検討を進め、論文を公表した。また、契約不適合責任の救済手段のうち、修補費用請求と損害賠償請求の関係をめぐる議論について、デジタル・コンテンツ指令における規定も踏まえながら検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
川和:ブリュッセル自由大学、バイロイト大学、欧州司法裁判所、慶応義塾大学、日本学術会議等との共催も含め、デジタル法制研究センターにおいて国際会議等8回開催し、司会や、それらの大学の研究者と共にデジタル化社会におけるダークパターン規制等についての報告を行い研究を深めた。比較法学会、内閣府消費者委員会、日本学術会議においてEU、アメリカ消費者法がデジタル社会における日本法に与える示唆について報告した。 松本:日本の特定商取引法における通信販売の規制は、同法制定当時の50年前のカタログ通販をモデルとしたものであり、デジタル化に対応できていないことを明らかにした。また、取引デジタルプラットフォーム経由で海外の事業者が国内の消費者に直接販売する場合の製造物責任の問題について、日本の対応が遅れていることを指摘した。 芦野:多数当事者の関与する法律関係という《多角的法律関係》の観点から、解釈論を提示し、いくつかの研究会で報告を行ったほか、ドイツ・ハレ=ヴィッテンベルク大学メラー=ハンニッヒ教授、ドイツ・バイロイト大学シュミット=ケッセル教授と意見交換を行い、日独法の現状について議論した。 馬場:EU指令は各国法を完全に平準化することを目指しているが、国内法化されたルールには各加盟国に独自のルールや取扱いが存在すること確認することができた。また、上記の研究を契機として、消費者契約・民事契約・商事契約の連続性に着目し、契約の階層構造の中に新種の契約を位置づける研究を行い、その可能性を示した。 永岩:ドイツにおける消費者保護立法として、電子商取引におけるオンライン上での解約について研究し、そこには、取引のデジタル化によって生じるリスクへの手当と消費者保護におけるデジタル化の活用という方向性が見られることを指摘した。また、日本でも同様の問題が生じていることから、規定の実効性という観点から検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
川和:学会・国際会議・研究会報告やそれらをベースとした論文の執筆を行っていきたい。同志社大学デジタル法制研究センターのセンター長として、国内外の大学、研究機関等と協力し、ダークパターン法制などデジタル社会における消費者の脆弱性等についての研究成果を発信していきたい。さらに、学術会議法学委員会「IT社会と法」「リスク社会と法」分科会においての研究も深め、広く一般にも研究成果を発信していきたい。 松本:インターネットユーザーの閲覧履歴や検索履歴、商品・サービス購入履歴、その他の個人データをもとにしたパーソナライズド・マーケティングが、法律上どの程度許されるのかについて研究する。その際、AIを活用してマーケティングを行うことについて、AI規制のあり方や個人情報・個人データの保護のあり方と関連させて検討する。 芦野:インターネット取引においては、《保護を必要とする当事者》という観点と同時に《保護を必要とする取引の仕組み》という観点からの研究も重要であり、今後はその両者の観点からの研究を進めていく。その際、ドイツ・バイロイト大学シュミット=ケッセル教授などの研究者とさらに連携を深め、研究会で報告するなどして研究を進めていく。 馬場:デジタル・コンテンツ法制に関する研究は一段落ついたので、今後は、本年度やや停滞していた消費者契約における個人データの取扱いに関する研究に力点を置く。また、フランス、ベルギーおよびルクセンブルクの消費者法制の研究を一段と進める必要があり、当地の研究者との交流をさらに深めていく。 永岩:欧州グリーンディールの動きの中で示された、消費者の新たな権利である「修理する権利」をめぐる問題やEU消費者権利指令の改正の状況を注視し、デジタル・コンテンツ指令によって導入された規定や、従来の議論との関係を中心に、海外での現地調査や研究者との意見交換の機会を得ながら研究をすすめる。
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