Project/Area Number |
21KK0054
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 16:Astronomy and related fields
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
松浦 周二 関西学院大学, 理学部, 教授 (10321572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津村 耕司 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (60579960)
佐野 圭 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (70802908)
高橋 葵 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), アストロバイオロジーセンター, 特任研究員 (70851848)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
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Keywords | 宇宙背景放射 / 赤外線 / ロケット実験 |
Outline of Research at the Start |
我々は,NASAの観測ロケットを用いた国際共同実験CIBER: Cosmic Infrared Background Experiment により近赤外域の銀河系外背景放射を観測した結果,その強度と空間的ゆらぎが通常銀河の積算光から超過していることを発見した.この超過は未知天体の存在を示唆しており,宇宙初期やダークハロー浮遊星が起源の候補である.我々はCIBERより一桁高い感度で超過原因を特定しうる新たなロケット実験CIBER-2を計画し2021年6月に第1回の打上げに成功した.本研究では,パラシュート回収した観測装置を次回実験に再利用するサイクルを複数回行い背景放射の超過問題を解明する.
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Outline of Annual Research Achievements |
我々は,NASAの観測ロケットを用いた国際共同実験CIBER: Cosmic Infrared Background Experiment により近赤外域の銀河系外背景放射を観測した結果,その強度と空間的ゆらぎが通常銀河の積算光から超過していることを発見した.この超過は未知天体の存在を示唆しており,宇宙初期の天体や近傍銀河のダークハロー浮遊星が起源の候補である.我々はCIBERより一桁高い感度で超過原因を特定しうる新たなロケット実験CIBER-2を計画し2021年6月に第1回の打上げ実験に成功した. 2022年度は,第1回実験において確認された観測装置に関する数々の課題を解決し第2回実験を実施した.第1回実験後から顕著になった望遠鏡の主副鏡の表面劣化は基材のアルミ合金上にコートした銀の劣化によるものと確認されたことから,主副鏡を再切削加工したのち,劣化が少ない銀合金を新たなコート材として施工した.フライト品へのコート施工に先立ち試作サンプルを用意し経時劣化を調べたところ,銀と比較して銀合金は劣化が少ないことを示した.日本で組立て調整した望遠鏡は,ロケット実験のとりまとめを行うロチェスター工科大学(RIT)へ輸送し,これを担当する日本チームが現地へ出向いてレンズ光学系や検出器と組合せ冷却光学試験を行った.様々な部品の遮光性能や検出器のノイズ性能を向上させ,すべての課題をクリアできたことから,第2回実験のためNASA Wallops Flight Facilityでの振動試験と総合動作試験を行ったのち,ホワイトサンズ実験場へ移動し,2023年4月に第2回の打上げを実施した.ところが,ロケット追尾に問題があり飛行停止措置がとられ,失敗に終わった.2023年度中に望遠鏡を再構築し2024年5月に第3回の打上げを実施するところまで実験を進めることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は第2回の打上げにおいてロケット追尾の不具合により失敗があったものの,早い段階で観測機器を改修および再構築することで第3回の打上げに臨むことができた.ロケット追尾の不具合は研究者側では如何ともし難い予測不可能な事態であったたため,これを研究の遅延とみなすことは正当ではない.観測機器の改修には研究代表者をはじめとし大学院生や学部生が日本から取りまとめ機関であるロチェスター工科大学へ出向き,現地での組み立てや実験の作業を主となって行った.この出張は本科研費により行ったが,このような不測の事態を想定していた出張予定も有効にはたらいた.2024年5月に第3回の打上げを行うことで本研究は実験としては一旦完了することができたことから,観測データの解析による科学成果の創出には至らなかったが,今後その期待がもてることでおおむね順調と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように,ホワイトサンズ実験場における第3回の打上げは2024年5月に実施する.今後はこの観測データを日米のメンバーで分担し解析を行い,近赤外宇宙背景放射のスペクトルと空間的分布から放射強度とゆらぎの超過の起源を探る.背景放射観測でしかできない天文学のフロンティアを開拓する.
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