疲労負荷下CFRPにおけるエントロピー損傷に基づく余寿命・残存強度予測法の構築
Project/Area Number |
21KK0063
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 18:Mechanics of materials, production engineering, design engineering, and related fields
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小柳 潤 東京理科大学, 先進工学部マテリアル創成工学科, 教授 (60386604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 諒 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (00815946)
佐藤 光桜 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (90914664)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | CFRP / 繰り返し負荷 / エントロピー / 強度低下 / 有限要素解析 / 疲労 / 数値シミュレーション / 強度劣化 |
Outline of Research at the Start |
東京理科大-東大-JAXAとシンガポール国立大学(NUS)の国際共同研究として繰り返し負荷下におけるCFRPの正確な余寿命・残存強度の定量化に取り組む.従来の実験式・経験則に基づいた耐久性研究の範囲から逸脱すべく,エントロピー損傷に基づいた根拠あるCFRPの劣化モデルを構築する.高分子材料の見えない劣化を分子の動きから計量されるエントロピー値で定量化し,マクロな寿命予測へ接続する.このような画期的な研究アイデアを日本側は有するものの,この実装にはシンガポール国立大学が有する計算力学に関するノウハウが必須である.
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Outline of Annual Research Achievements |
シンガポール国立大学との共同研究として、エントロピー損傷に基づくCFRPの疲労破壊解析に関する研究を実施している。22年度は21年度に開発した劣化を含むHashin則のコードを用いて、CFRP積層板の疲労損傷蓄積に関する数値シミュレーションを実施した。 まず本研究にて昨年度開発したコードを中心とする研究成果を International Journal of Fatigue に投稿し、2022年12月1日にパブリッシュされた。本コードの開発は、シンガポール国立大学との共同研究であったため、国際共著としてパブリッシュされている。なお、11月にシンガポールに訪問し(本申請の代表者および分担者を含む研究グループにて)、本研究のミーティングを実施した。次に、このコードを用いて中規模な数値シミュレーションを実施した。CFRPのクロスプライ積層板をモデル化し、細かく分割された各要素に劣化Hashin則を導入した上、強度をそれぞれ個別に設定した、現実的な解析を行った。繰り返し負荷を与え、最初はダメージがないものの、負荷回数を増やすにつれてトランスバースクラックというCFRPの初期にできる損傷が徐々に増えていくことをシミュレートできた。また、損傷累積に対する繰り返し負荷の周波数依存性も数値シミュレーションを用いて検討し、実験結果と良い一致を得た。これらの結果をMaterialsに投稿し、現在パブリッシュされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3年で計画していた研究内容が2年で概ね達成することができた。したがって23年度は次なる課題を前倒しで取り組む。当初は損傷発展のアルゴリズムに困難を強いられる想定であったが、相当応力をベクトルとして扱うという工夫によってこの課題を解決することができた。具体的には損傷発生時の各応力成分をベクトルとして記憶し、その単位ベクトルを基本として損傷発展を定義することで計算を実現することができた。また、CFRP積層板の繰り返し負荷における周波数依存性を含む累積損傷プロセスをシミュレートすることができたので、次年度はさらに発展したCFRPケーブル等の疲労損傷解析を実施する。一方で、マルチタイムスケール解析法の考案、応答局面法を用いた劇的な計算コスト削減法の考案にも取り組んで行く。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度はCFRPケーブルの疲労損傷解析を実施する。CFRPケーブルはその耐久性が保証されれば、様々な部材への適用が期待されている。特に深海探査用のケーブルとしての適用は将来性があり、これまで金属のケーブルでは自重による破断が律速となって、1000m程度の深度へしか探索が行われてこなかった。しかしCFRPケーブルであれば7000m級の深海探査が実現可能であり、未踏領域の資源探索に大きく期待が持てる。これを目指し、CFRPカーブルの疲労損傷解析を実施し、耐久性の確保へ向かう。 一方で、数値シミュレーションには計算コストが律速となって現実的な負荷回数での疲労シミュレーションは実現されていない。これを打開するために、マルチタイムスケール解析法を確立する必要がある。23年度は本課題にも取り組んでいく。さらに、負荷荷重が途中で変化する場合も想定され、これに対応するためには、繰り返し負荷をある一定応力として計算する手法を適用するという解決策がある。これには応答局面法を効率よく活用する必要があり、23年度はこの手法の構築にも取り組んでいく。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)