Project/Area Number |
21KK0075
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 23:Architecture, building engineering, and related fields
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山中 浩明 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (00212291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守田 正志 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (90532820)
三宅 弘恵 東京大学, 地震研究所, 准教授 (90401265)
佐藤 大樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40447561)
笠松 健太郎 鹿島建設株式会社(技術研究所), 都市防災・風環境グループ, 主任研究員 (90443704)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥19,110,000 (Direct Cost: ¥14,700,000、Indirect Cost: ¥4,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
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Keywords | 地震ハザード / 強震動 / 地盤増幅 / 地震被害 / トルコ / ブルサ / 歴史建築保全 / 歴史地震 / 地震工学 |
Outline of Research at the Start |
現地調査によって地震記録、地盤や歴史建物のデータを取得し、歴史建築の構造様式などの時代性・地域性を考慮した建築史的視点から地震被害履歴を読み解く。これらの被害を説明する震源モデル、地震動特性、建物振動モデルを最新の地震工学的評価技術によって推定する。さらに、将来の想定地震による歴史景観地区での地震動及び被害予測を行う。本共同研究によって地震工学系と歴史系の融合による新しい地震防災研究分野をトルコ側研究者と共創する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,地震・地盤系,構造工学系,歴史系の研究者が協働して,トルコの地震多発地帯で歴史建築の保全のための地震動評価の新しい枠組みを提案することを目的としている。具体的には,オスマン帝国の初代の首都であるトルコ北西部のブルサ地域を対象とした調査研究を実施している。ブルサ地域での大きな歴史地震である1855年の地震に着目して,この地震の地震動特性とモスク被害に関する文献調査および現地調査を実施している。また,2023年2月に発生したトルコ南東部地震も被害の甚大さを考慮して,この地震の地震動特性に関する研究を行うこととした。 2023年9月には,両国の研究分担者が参加して1855年のブルサ地震の被災地域での歴史的建物の近傍の23地点において微動探査,電気探査を実施した。昨年度の現地調査の14地点での観測データと合わせて分析を行った。微動探査では,周波数2~30Hzの帯域でレイリー波の位相速度を得た。一方,電気探査の結果から見掛比抵抗の観測値を得た。これらのデータの同時逆解析によって,表層地盤のS波速度および比抵抗の1次元モデルを推定した。深さ30mまでの平均S波速度とモスクの被害程度には,ギョク川周辺については正の相関が認められた。しかし,城郭付近では,平均S波速度と被害程度の間に相関性が認められず,地盤増幅のみでは被害分布が説明できないことが明らかになった。 2023年トルコ南東部地震の被災地域において臨時強震観測を実施し,余震による強震記録を得た。得られたデータの分析から,被災地域での地震動特性を明らかにした。被災地域では,地盤増幅大きく,盆地構造による後続位相も顕著であることがわかった。こうした影響を考慮することが本震による強震動特性の理解に不可欠であることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年には,まず,昨年度実施したトルコ・ブルサ地域での現地調査で得たデータの分析結果を検討し,平均S波速度や工学的基盤深度の分布の不確かな点などを両国の研究分担者で議論し,2023年度の現地調査の計画を検討した。さらに,両国間でメールでの議論を行い,現地調査計画の詳細案を決定した。調査地域は,ブルサ市の旧市街地であり,南側の丘陵地に近接した平野端部地域であり,地盤条件の空間的な変動が大きいと考えられ,より観測点密度の高い調査を実施することとなった。2023年9月には,現地調査を実施することができた。別予算による参加も含めて日本側から4名,トルコ側から5名が調査に参加した。また,現地に滞在中には,ブルサ市防災関連部署を訪問し,防災担当者およびJICAの防災プロジェクトで現地派遣されている日本人技師と面談し,ブルサ市の地震防災の課題や地盤環境などに関する意見交換を行った。ブルサ市側から,現存するモスクのミナレットの振動特性も解明してほしいとの要望を受け,ミナレットでの微動計測も実施した。2023年度後半には,昨年度の現地調査も含めて取得したデータの分析を日本側が主体となり実施した。2回の現地調査で1855年の地震で被災した多くの歴史的建物での表層地盤モデルを推定できた。さらに,地盤モデルの特徴と昨年度明らかにした1855年の地震の被害分布の関係を議論した。 昨年度後半より,2023年2月に発生したトルコ南東部地震の被災地域での地震動特性の検討も本研究の研究項目に追加している。両国の研究分担者および協力者が協働し,2023年3月より実施している臨時強震観測を2024年2月まで継続した。取得した強震記録を分析し,被災地域での地震動特性を明らかにした。国内でのシンポジウムおよびトルコで実施された国際会議において招待講演としてこれらの成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,為替変動の影響などで渡航関連の費用が上昇し,トルコ渡航回数を少なくした。さらに,別予算での渡航可能性も検討し,研究分担者が現地調査に参加できるように工夫した。2024年度もメールやインターネットの会議などをより活用し,対面以外の形式での共同研究の推進に努める必要がある。その一方で,対面での議論は,国際共同研究において極めて重要であることに変わりはなく,様々な機会を利用し,対面での十分な議論機会の確保にも努力していくことを考えている。 本研究の途中で新しく研究項目に追加した2023年2月のトルコ南東部地震の地震動特性と被害の解明に関する研究では,基礎的データを取得することができた。2024年度に,これらのデータの分析を完了し,両国の共同研究として成果を公表する予定である。 2024年度は,本研究の最終年度であり,総括に向けて国内での研究分担者との議論を行い,成果を取りまとめていく。
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