Project/Area Number |
21KK0083
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 26:Materials engineering and related fields
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小田 竜樹 金沢大学, 数物科学系, 教授 (30272941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和則 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60379097)
小幡 正雄 金沢大学, 数物科学系, 助教 (10803299)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥13,260,000 (Direct Cost: ¥10,200,000、Indirect Cost: ¥3,060,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 磁気形状記憶合金 / 磁歪 / バリアント / スピン密度汎関数法 / 準粒子自己無撞着GW法(QSGW法) / マルテンサイト変態 / バンド-ヤン-テラー効果 / マルテンサイト相 / オーステナイト相 / ノンコリニア磁性 |
Outline of Research at the Start |
日本側の磁気異方性や磁場印加の計算技術と、チェコ側がもつ計算モデルや原子構造の知見・データを結合させ、マルテンサイト相間の転移機構および、双晶面と磁区構造を電子・磁気構造に基づいて解明する。研究には、現実的モデル系で、ノンコリニア磁気構造、磁場印加、格子歪を同時に取り入れた第一原理的(非経験的)シミュレーション(密度汎関数法による電子状態計算法)や、電子局在性を考慮できるGW法(多電子効果を取入れることが可能な高精度電子状態計算法)を用いる。
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Outline of Annual Research Achievements |
磁気形状記憶合金の記憶現象について、機構解明を目標にチェコ共和国実験研究グループとの共同研究を進めた。2021(R3)-2022(R4)年度は(1)Ni-Mn-Ga系で、ハバードモデルUと密度汎関数法(DFT)を組み合わせた方法(DFT+U法)、および電子局在性を高精度に考慮できるGW法(準粒子自己無撞着GW法:QSGW法)を用いて,電子局在の効果の重要性が判明した。(2)QSGW法の結果はマルテンサイト変態を特徴づけるバンド-ヤン-テラー効果を明確に証拠付けた。一般化感受率計算を通して、オーステナイト相(A相)の不安定性から、変調M相である6M、10M、14Mの各相を正当化できた。(3)不安定相として出現する相の変調波数ベクトルは、磁気モーメントに敏感で14Mが出現し得ることが得られた。 2023(R5)年度は、研究分担者(若手)は、カレル大学に滞在(10カ月間)して、Mn濃度が過剰な場合の研究を推進する傍ら,チェコの実験研究者と議論を行った。チェコ理論研究者とも議論を重ね、共同研究の可能性を探った。チェコ工科大と金沢大の二重学位制度学生はNi-Mn-X系(X=Al,In)にQSGW法を適用しNi-Mn-Ga系との相違点を明らかにする研究を実施した。(4)QSGW法ではオーステナイト相でも電子局在の効果が重要であること、このような電子状態はDFT+U法では再現されていないことが明らかになりつつある。(5)双晶面の移動に着目して双晶面のエネルギー安定性等を明らかにするため、DFT理論計算を推進した。その結果低いエネルギー障壁で変調マルテンサイト相に特有のナノ双晶面が移動できることが明らかになりつつある。(6)密度汎関数法に基づくの理論計算を高速に処理するため、GPUを用いた高速化処理の開発を実施した。100倍以上の高速化を実現する可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本国際共同研究では、双晶面付近の数原子層または数十原子層を対象に、各種第一原理的電子状態計算を駆使して、原子・磁気構造を決定し、弾性歪・磁歪・磁気異方性による相互作用エネルギーを見積もり、マルテンサイト相間転移機構や磁区構造を明らかにする等が目的である。オーステナイト相からマルテンサイト相への相転移について、不安定性についての論文発表が2022(R4)年度期間に出版された。理論研究に限定した論文としたため、実験的研究室との国際共著論文とはならなかったが、2022-2023年度に若手研究者のチェコへの渡航により,対面による国際共同研究により実験測定に関する議論を積極的に行うことが可能となった。理論的な側面については、予想以上の進展があったと考えている。相互作用エネルギーを見積もりや磁区構造に関する研究については今後取り組む課題となっているが、ナノ双晶境界の移動のエネルギー障壁が小さい可能性があることが判明しつつあること,Ni-Mn-X系(X=Al,In)の計算が進んだことなどがあり,国際会議での成果発表や研究報告論文の投稿や出版受理につながっている。マルテンサイト変態に関連した相転移についての機構解明に向けて、国際共同研究成果を確認するための研究会や国際会議の開催が望まれるが、対面での若手の人的交流が進んでおり全体的には、順調に進んでいると言ってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)2024(R6)年度は、チェコの若手研究者が、金沢大に滞在して共同研究を行う予定である。QSGW法を含む電子状態計算法を駆使して、マテリアルデザインに役立つ指針を獲得する。
(2)双晶面を含む系において、双晶面のエネルギー安定性や移動容易性、磁気的相互作用等を総合的に理解するための研究を実施する。
(3)マルテンサイト変態に関連した相転移についての機構解明に向けて、国際共同研究成果を確認するための研究会や国際会議の開催を計画し実施する。
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