Model & scenario analyses of the response of coastal ecosystems to industrial structural changes in the Republic of Palau
Project/Area Number |
21KK0112
|
Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 40:Forestry and forest products science, applied aquatic science, and related fields
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
梅澤 有 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50442538)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 允昭 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 主任研究員 (10805865)
中村 隆志 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (20513641)
宮島 利宏 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (20311631)
渡邉 敦 公益財団法人笹川平和財団, 海洋政策研究所 海洋政策研究部, 主任研究員 (00378001)
|
Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
|
Keywords | パラオ / 海草藻場 / サンゴ礁 / 陸起源物質 / 魚類生態系 / 流出負荷モデル / 流動・物質循環モデル / 社会実装 / パラオ共和国 / 産業構造転換 / モデル・シナリオ解析 / 沿岸生態系機能・応答 / ブルーエコノミー |
Outline of Research at the Start |
パラオ共和国では、観光産業依存型経済を改めて自足的な産業構造への転換を図ることが模索されている。しかしこれらの産業活動は廃棄物や汚濁物質の海域流出、沿岸水産資源の搾取を伴うため、パラオの重要な自然資源、特にサンゴ礁生態系への悪影響が懸念されている。本研究ではまず畜産振興のための陸域開発と養殖施設の増加、沿岸の漁獲圧上昇が、沿岸海洋生態系の構造と機能に及ぼす影響を実地調査に基づいてモデル化し、生態系の健全性と環境収容力を評価する。さらに海域への産業影響を緩衝する海草藻場等の生態系サービスも活用し、環境収容力と復元力の強化に基づく持続可能な地域海洋経済(ブルーエコノミー)の実現に向けた提言を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
沖縄県備瀬サンゴ礁(本島)と白保サンゴ礁(石垣島)において、パラオでの調査を見据えた観測機器(セジメントトラップや石膏球)のチェックと観測を行った。また、パラオ共和国では、2023年12月に環境調査も含めた大規模な現地調査を実施した。現地調査時には、現地カウンターパートのほか、JICA専門家との研究相談も行った。 今年度はマングローブ林とサンゴ礁との関連性に着目し、Airai州とNgiwal州の集水域において、小型ボートのチャーターによる河川の遡上調査を行った。AiraiとNgiwalの集水域の河川3本とAimeliik州の河川1本では採水・河川断面測量・流速測量を行って、陸域の農地開発に伴う栄養塩や土砂流出負荷の見積りのための基礎情報を収集した。 Ngiwalの河川河口付近と、Ngiwalの海草藻場・サンゴ群集帯では、調査期間中にロガーを設置して、流向流速・水温塩分等の観測を行った。また、Aimeliikに隣接したサンゴ礁では、多点での水深と水塊構造の観測を行ったほか、水温塩分の長期観測も開始し、海域での陸域物質の伝播を推測するための海水流動シミュレーションモデル作成用のデータを得た。 積算蓄積量と定常的な蓄積量を評価する2種のセジメントトラップや石膏球の設置によって、物理環境の違いによる海草藻場と裸地での再懸濁量の評価を行い、海草帯という緩衝植生帯が陸起源物質を捕捉し、サンゴ群集への影響を緩和する役割の定量的な評価を行った。集水域河川から海草帯、サンゴ礁においてeDNA試料分析用の採水や堆積物試料の採泥も行い、それぞれ、底生生物や微生物の分布、有機物や重金属の分布から藻場の機能評価の解析に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の調査は、島全体の海岸線を回っての調査を行ったが、2023年度の調査では、Ngiwal州、Airai州、Aimeliik州からの調査許可を得て、河川から海域にかけての詳細な調査を実施することが出来た。海草藻場による栄養塩や堆積物の緩衝作用や生物分布を明らかにするための試料・データが順調に得られてきている。特にNgiwal州においては、上流域の農地開発が将来的に進む可能性があるコンパクトな集水域・海域での調査体制を築くことが出来た。 複数名の大学院生を調査に同行させて、将来的に、国外共同研究を実施することが出来る人材育成を行うことは、当初より本プロジェクトの目的としていたが、2023年度の調査では3名の大学院生を派遣し、海外調査における調査機材の輸送、現地カウンターパートとの交渉、水・生物試料の採取・持ち出し許可などのノウハウを学んでもらうことが出来た。 2024年度はラグーンの発達した西海岸に位置するNgermeduu Bay(Karamadoo Bay)周辺海域で調査を行うことを予定しており、現地にて、陸域物質に対する海洋生態系保全について、コーディネーター的な役割も含めて取り組んでいるYvone Ueda氏(The Nature Conservancy)とのミーティングを行って情報交換し、現地調査のサポートを行っていただくこととしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、これまでに得られている水試料の栄養塩分析、堆積物・生物試料の安定同位体比分析や遺伝子解析、重金属分析、粒径分析を進めるとともに、雨季の後半時期(9月)に現地調査を行っていく。調査地としては、西海岸に位置し、ジャイアントクラムやナマコなどの無給餌養殖(現時点での養殖由来の栄養塩負荷は小さい)が盛んであるNgermeduu Bay(Karamadoo Bay)において、特に海草藻場による栄養塩保持と河川由来懸濁物の捕集の機能を直接的に評価する調査を行う。昨年度と同様に、現地において新規学生スタッフ等が確実な調査を実施できるよう、7月に国内の藻場において、予備実験・共同調査も行う。また、対象海域の流動・物質循環モデルの開発および、流域モデルの開発を進め、基本的なモデルフレームワークを完了させる。Ngermeduu Bayにおいても、東海岸と同様に各種物理・化学・生物パラメータを集めて、モデルの精度検証・向上を行い、将来予測を行うためのシナリオを検討・具体化する。
|
Report
(3 results)
Research Products
(7 results)