Project/Area Number |
21KK0136
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 49:Pathology, infection/immunology, and related fields
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松本 壮吉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30244073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾関 百合子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00169301)
袴田 真理子 新潟大学, 医歯学総合病院, 専任助教 (00913097)
松村 隆之 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 室長 (50434379)
中村 梨沙 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50645801)
大原 由貴子 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (60888585)
田中 崇裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70455400)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥19,240,000 (Direct Cost: ¥14,800,000、Indirect Cost: ¥4,440,000)
Fiscal Year 2024: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
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Keywords | 結核 / 診断 / 抗体 / T細胞 / IGRA / インドネシア / フィリピン / 潜在性結核 / 活動性結核 / 単クローン抗体 |
Outline of Research at the Start |
申請者等は、①結核発症前から結核菌に対する抗体価が上昇すること、②一部の結核菌抗原は、強い抗体産生能があること、③無症候感染時に産生される抗結核菌抗体があることを、を見いだしている。本研究では、抗体を用いて結核流行地において、簡便に結核患者を検出できるかを検討する。また、無症候感染者に産生されている抗結核菌抗体の機能を解析し、防御的作用を検証する。以上により、新しい抗体ベースの結核制御法の開発にむけた基盤情報を取得する。
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Outline of Annual Research Achievements |
最大級の感染症である結核を封じ込めるには、感染源である患者に加え、感染源に移行する無症候感染者を的確に、且つ迅速に診断し、投薬を施す必要がある。結核菌蛋白質ESAT6/CFP10を用いた血液刺激で産生されるIFN-gammaの検出で無症候感染を検出する、現行で唯一の無症候感染の検出法IGRAは、検出感度が低く、また発症傾向を検知できない。本研究では、IFN-gamma応答に加え、抗体応答も利用して、発症傾向の検出技術や制御技術の提案を目指している。 2023年には、インドネシアのアイルランガ大学およびフィリピンのサンラザロ病院との共同研究によって、それぞれ抗体とサイトカイン応答の解析を行った。アイルランガ大学との共同研究では、これまでに結核菌の培養上清から精製した一部の分泌蛋白質を用いることで、肺結核患者を検出できることが示された。興味深いことに、同一の抗原の大腸菌の組換え体では、検出感度や特異性が低い、すなわち生来の結核菌蛋白質を利用することが、結核の抗体診断において重要であることが示唆された。抗Ag85抗体は、発症前から急激に上昇していることが示されており、結核菌由来Ag85を使った抗体診断が、発症傾向診断に有用であることが確認された。本研究成果の論文発表を行った(Desak et al., Sci Rep., 2023)。 サンラザロ病院においては、福島医大の安田等を支援し、結核患者と菌の曝露された可能性が高い患者家族(発症高リスク者)、発症低リスク者間での、結核菌蛋白質に対するサイトカイン応答を検討した。その結果、IGRAで使用されているESAT6/CFP10では検出できないが、MDP1を抗原として利用することで発症低リスク者を検出できることが示唆された。本研究成果の論文発表を行った(Yasuda et al., Front Immunol., 2024)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2023年には、海外の共同研究者と3報の論文を出版することができた。 インドネシアのアイルランガ大学との共同研究では、これまでに結核菌の培養上清から精製した、主要な結核菌分泌蛋白質を利用して、結核発症者で産生されている抗体が認識する特定の蛋白質があることを確認できた。また、結核の抗体診断においてNativeな蛋白質の使用が鍵であるという重要知見も示すことができた。抗Ag85抗体は、発症前から急激に上昇することが動物や人で示されており、Native Ag85を使った抗体診断が、結核の発症傾向診断に有用であることが確認された。また副次的に、アイルランガ大学病院における薬剤耐性結核菌の解析結果も誌上発表することができた。 フィリピンのサンラザロ病院の試験においては、結核の発症リスクの低いポピュレーションで、MDP1に対するIFN-gamma応答が顕著であることが分かった。それは、現行のIGRAで使用されているESAT6/CFP10では検出できなかった。MDP1は独特の構造機構で、細菌の休眠を誘導する活性があることも、本年我々は報告した(Nishiyama et al., Nucleic Acid Res., 2024)。以上の結果からMDP1に対する高値の免疫応答の検出は、発症リスクの査定に有用だと考えられた。 このように、計画以上の知見が得られるなど、研究が進行していることから、「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
インドネシアのアイルランガ大学との共同で、IGRAと抗体検査を比較する臨床試験を実施している。抗体応答とIFN-gamma産生応答(IGRA)との相関の有無に関する知見を次年度には得るべく、引き続き試験を継続する。抗体検出においては、通常のELISAよりも、Luminexを用いた蛍光検出が、簡便でより高い感度で、特異性高く、抗体価を検出できるというパイロット試験の結果を得ている。Nativeな結核菌蛋白質とLuminexを組み合わせたin-houseでの抗体検出系をセットアップし、本研究に利用したい。 これまでの研究から、Nativeな抗原が、抗体検出で適していることが分かった。一方で、アミノ酸の配列は、Native蛋白質と組換え蛋白質で同一である。結核患者や前発症状態の人で産生されている抗体が、Native蛋白質のなにを認識しているのか、今後の診断法の開発に向けて、知見を集積していきたい。 MDP1に対するIFN-gamma誘導は、結核非発症者>結核患者であることがフィリピンのサンラザロ病院で示された。結果の普遍性について別地域での検討を計画したい。 IFN-gammaは、結核の防御に必須のサイトカインであることも分かっており、ワクチンのマーカーでもある。これまで発症を抑え込んでいる無症候感染者よりも、発症を許した結核患者において、よりIFN-gamma産生を強く産生誘導する分子が、結核ワクチン候補として注目されてきたという、ある意味、矛盾があった。MDP1に対するIFN-gamma応答は、潜伏感染している結核菌が休眠してMDP1を高生産しているから抗原として認識されやすいからなのか、それともMDP1に対してIFN-gammaを産生するT細胞が、結核発症の阻止に積極的に関わっているかのいずれなのか、もしくはその両方であるのかを確認していく必要がある。
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