Project/Area Number |
21KK0182
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 61:Human informatics and related fields
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野中 哲士 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20520133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 浩平 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (10740251)
永野 光 神戸大学, 工学研究科, 助教 (70758127)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | 探索 / 身体性 / 学習 / レザバー計算 / 点字 / 知覚学習 / 知能 / 柔軟性 / 目的志向性 / リザバー計算 / 操作スキル / 環境 / 発達 / goal-directed system / agency / dexterity / reservoir computing / アフォーダンス / スキル / 操作 |
Outline of Research at the Start |
人間の手は物体を操作する遂行的機能をもつ操作器官であると同時に,環境内の対象を知覚するきわめて高度な探索的機能をもつ探索器官である.本研究では,知覚対象に特化して生まれる「探索器官としての手」の活動がどのようにしてリアルタイムで創発し,発達するのかという問いに対して,探索にともなう自発的な動きがやわらかい身体にもたらす摂動ダイナミクスを情報資源としてとらえる視点から,人工知能,工学,認知科学の異分野融合国際共同研究により検討する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,変化する多様な環境に際して,知覚すべき対象や形成すべき環境との関係に応じて,課題特定的に「探索器官」としての手の能動的探索運動パターンが柔軟かつリアルタイムで創発する原理を根本的に解明することを目的とするものである.特に,レザバー計算のフレームワークを用いて身体の受動ダイナミクスを考慮することで,能動的探索運動によっていったいどのような情報が生み出されているのかについて明らかにすることを目指している。この目的に向けて,本プロジェクトでは,身体性認知科学,レザバー計算,ロボティクス,ハプティクス工学とそれぞれ異なる研究領域を専門とする研究者たちが有機的に連携し,学際的・国際的な共同研究を行ってきた。研究代表者は令和4年度に海外共同研究機関であるUniversity of Cambridge,Department of Engineering, Bio-Inspired Robotics Laboratoryに研究滞在し,その後も本研究課題に参加している国内外の研究者が定期的にオンラインでディスカッションを行うミーティングを行い,共同研究を進めている。本年度は昨年度に引き続き,(1)事物・出来事を特定するエネルギ-配列が生じ得る情報メディウムの性質から,課題特定的探索動作組織の創発に必要な条件を同定する理論研究,(2)課題特定的な探索動作の動作解析(点字の触読,身体図式の知覚)による検討,(3)複雑な熟練技能における,状況の変化に応じた動作協調パターンの検討を進めた。国際会議Robosoftでの発表およびワークショップ,国際会議International Conference on Perception and Action (ICPA2023)での発表,Bioinspiration & Biomimetics誌掲載の国際共著論文公刊等,多方面に成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年目となる令和5年度には,海外共同研究機関University of Cambridge,Department of Engineering, Bio-Inspired Robotics Laboratoryとの国際共同研究を発展させ,下記の成果を得た。(1)ピアニストが異なるテンポで演奏する際の運動協調パターンの変化を計測した運動協調パターンと,CPG(central pattern generator)制御のピアノ演奏シミュレーションロボットのパラメータを変化させるときに生じる動作協調パターンの変調パターンを比較し,ピアニストが示す運動協調パターンがなぜ生じるのかをシミュレーションを通して検討する国際共著論文をBioinspiration & Biomimetics誌に公刊した(Wang et al., 2024)。(2)やわらかいロボット指が対象に接触したときの皮膚の変形にともなう圧力分布のダイナミクスを用いて接触対象のやわらかさを識別するとき,どのような情報が用いられ得るのかの詳細を検証する実証研究を6th IEEE-RAS International Conference on Soft Robotics (RoboSoft 2023)で発表した(Nonaka et al., 2024)。(3)事物・出来事を特定するエネルギ-配列が生じ得る情報メディウム(e.g., 生体組織)の性質から,課題特定的探索動作組織の創発に必要な条件を同定する理論論文を国際誌に公刊した(Nonaka, 2024)。(4)接触対象の精緻な探索スキルが要請される陶芸技能の伝承の特徴を検討した(Nonaka et al., 2024)。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる令和6年度は,これまでの海外共同研究機関との下記の国際共同研究の成果の公表に注力する。(1)本課題研究期間に蓄積した点字触読の熟練者が点字を読む手指の触読動作を3次元モーションキャプチャーを用いて計測したデータの多重時間スケールダイナミクスを解析し,その特徴を抽出することで,人間による探索ストラテジーを規範とするロボットによる柔軟な点字触読技能を実現する。(2)手に接続した物体の特性を知覚するダイナミックタッチ課題において,レザバー計算の枠組みを用いて,異なる物体を手にしたときの知覚情報の分離特性(separation property)が,探索運動の方略によってどのように変化するのかを,ロボットおよび人間の多次元生体信号解析を通じて解明する。(3)物理レザバー計算のフレームワークを用いて生体の受動ダイナミクスと筋肉の豊かな動作を計算に利用することで、リズミカルなパターンや複雑で予測困難なパターンなどの様々な動作を自律的に生成するシステムの検討を行う。(4)変化する多様な環境に際して課題特定的に能動的探索運動パターンが柔軟かつリアルタイムで創発する原理をめぐり,身体性認知科学,レザバー計算,ロボティクス,ハプティクス工学といった異なる研究領域の研究者が集まって意見を交わす国際研究ワークショップを本年度中に開催し,本研究課題テーマの今後の展望および射程を議論する。
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