パンデミック状況での過剰な医薬品使用の環境への影響:薬剤耐性と水圏生物への影響
Project/Area Number |
21KK0188
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (B))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 63:Environmental analyses and evaluation and related fields
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
玉村 雪乃 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 主任研究員 (90584384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関塚 剛史 国立感染症研究所, 病原体ゲノム解析研究センター, 室長 (40462775)
グルゲ キールティ・シリ 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, グループ長補佐 (50391446)
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Project Period (FY) |
2021-10-07 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 環境化学 / 薬剤耐性 / メタゲノム解析 |
Outline of Research at the Start |
薬剤耐性菌は抗菌剤の存在下で出現すると考えられており、その対策として抗菌剤の適正な使用が求められている。一方で、2019年12月以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で、抗菌剤を含む医薬品の使用量が急増している。本課題ではCOVID-19流行下における過剰な医薬品使用の薬剤耐性菌、医薬品残留物、重金属による環境汚染への影響を明らかにすることを目的として、これまで継続的に環境汚染の調査を行ってきたスリランカに赴き、環境水の汚染実態を調査する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題ではスリランカを対象とし、COVID-19流行下における過剰な医薬品使用の、薬剤耐性菌、医薬品残留物、重金属による環境汚染への影響を明らかにすることを目的とする。 2022年1月、2月、4月、7月、12月にスリランカにおいて病院排水及び環境水を約20地点で採取し、合計約90検体についてメタゲノム解析、物理化学性状の測定、大腸菌群数の測定を行った。一部の検体については大腸菌の分離と薬剤感受性試験を実施した。メタゲノム解析の結果、COVID-19流行前である2016-2018年と比較して、2022年の検体では細菌及び薬剤耐性遺伝子の検出量が多かった。2016-2018年の検体ではStreptococcusやBifidobacterium等の腸管内由来と考えられる細菌の検出割合が高い一方で、2022年の検体ではAcinetobacter、Enterobacter等のGammaproteobacteriaの検出割合が高く、COVID-19流行前後で病院排水の細菌叢が変化したことが明らかとなった。薬剤耐性遺伝子においては、2016-2018年の検体ではblaGESやqacE等のクラスIインテグロンに関連する遺伝子の検出割合が高く、2022年の検体ではmsr(E)、mph(E)等のマクロライド耐性遺伝子や、メタロβラクタマーゼであるblaNDM検出割合が高かった。COVID-19流行前後におけるレジストームの変化は、細菌叢の変化が影響している可能性が考えられた。なお、下水処理後水の細菌及び薬剤耐性遺伝子の検出量は下水処理前水と比較して低く、大腸菌群数、BOD及びCODも低いことから、下水処理により細菌が除去されていることが示された。2022年1月に採取した病院排水では採材地点ごとに分離株の薬剤耐性状況が異なり、病院における医薬品使用状況等が影響していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は予定していた通りにスリランカで採材を行い、検体を日本に持ち帰ることができた。採取した試料については物理化学性状の測定、メタゲノム解析、一部の検体のみ大腸菌分離と薬剤感受性試験を行っている。メタゲノム解析によりCOVID-19流行前後の細菌叢及びレジストームの変化を明らかにしており、これらの進捗状況から計画通りに進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年に採取した全検体からの大腸菌分離と薬剤感受性試験、医薬品残留物、重金属の検出を行う予定である。また、COVID-19流行前に病院排水中の薬剤耐性菌分布状況を調査していたインドにおいてもスリランカと同様に水試料を採取して解析し、COVID-19流行前後のデータを比較するとともに、スリランカとインドの状況を比較する予定である。インドにおける採材については既に現地の協力者と調整を行っている。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)