過去の記憶・克服・忘却と向きあう世界市民型平和教育の構築を目指す日独伊比較研究
Project/Area Number |
21KK0233
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐藤 宏之 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (50599339)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥13,130,000 (Direct Cost: ¥10,100,000、Indirect Cost: ¥3,030,000)
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Keywords | 平和教育 / 平和学習 |
Outline of Research at the Start |
日本・ドイツ・イタリアは、ともにファシズム陣営を構成 し、第二次世界大戦で近隣諸国を侵略したため、歴史的には第二次大戦の戦争加害国に位置づけられる。この3国は、戦争の終わり方や敗北観の違いから異なる戦後の一歩を踏み出したにもかかわらず、それぞれ戦後教育を推進する一方で、現代における自国民優先(中心)主義による排他的な選別と区別は、克服すべき喫緊の課題といえる。 この課題を克服するため、日独伊3国における戦争を教える平和教育を1.歴史教育、2.記念館教育、3.市民教育の3つの位相でとらえ、戦後教育の推進および民族主義的な教育論への回帰の原動力・駆動力を解明し、世界市民型の平和教育を構想・構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
日本・ドイツ・イタリアは、ともにファシズム陣営を構成し、第二次世界大戦で近隣諸国を侵略したため、歴史的には第二次大戦の戦争加害国に位置づけられるが、戦争の終わり方や敗北観の違いから異なる戦後の一歩を踏み出したにもかかわらず、それぞれ戦後教育を推進する一方で、いずれの国も民族主義的な教育論へ回帰しているという点で共通する。特に、現代における自国民優先(中心)主義による排他的な選別と区別は、平和を構築するうえで克服すべき世界市民的な喫緊の課題といえる。 この課題を克服するため、今年度はイタリア・ドイツを中心としつつ、ホロコーストの歴史をヨーロッパ全体の歴史としてとらえようとする「コスモポリタン的記憶」や「ホロコースト・メモリーのコスモポリタン化」といった歴史観の変化に関する文献調査を行った。また、ヨーロッパで行われている戦争を教える平和教育は、日本のそれとは異なり、学校や博物館等、市民団体(NPO団体)が相互に補完し合いながら進められており、公教育で行われる歴史の理解や教育方法と博物館等で実施される教育プログラムの整合性が重視されている。特に、博物館の重要な機能のひとつである教育・普及に力が注がれており、歴史学や教育学、教育プログラム開発の専門家を配置し、展示物や展示内容、体験者の証言等に関わる歴史検証や教育方法を検証する体制が構築されている。そこで、ヨーロッパで行われている平和教育を①歴史教育、②記念館教育学(Gedenkstaettenpaedagogik)、③市民教育の3つの位相でとらえ、それらに関する文献調査を行い、平和教育の情報(学習素材・学習目的・学習方法・学習効果など)を資源化し、共通に議論をするための土台づくりを行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響により海外への渡航を断念せざるを得なかったが、その分をイタリア・ドイツを中心としつつ、ホロコーストの歴史をヨーロッパ全体の歴史としてとらえようとする「コスモポリタン的記憶」や「ホロコースト・メモリーのコスモポリタン化」といった歴史観の変化や、ヨーロッパで行われている戦争を教える平和教育に関する文献調査を行い、平和教育の情報(学習素材・学習目的・学習方法・学習効果など)を資源化し、共通に議論をするための土台づくりにあてることができた。これにより、次年度に渡航先で実施する共同研究における課題をさらに明確にさせることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
イタリア・ベルギーに滞在し、共同研究者とともに、それぞれの平和教育で実践されてきた「過去の受け止め方」、すなわち、どのような過去を伝達するか、未来の「記憶」の形をどのように選択するかについての歴史学的な研究を行う。 また、基課題において対象とした死者たちを手段とせず、死者たちに対する負い目を教育の駆動力とせず、かつ死者たちに対して応答し責任を果たす平和学習の方法と関連させて、平和形成主体育成のための平和学習プログラムの開発を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)