Psychological, genetic, and neural mechanisms related to the occurrence and persistence of perinatal depressive symptoms.
Project/Area Number |
21KK0236
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Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Nagoya City University (2023) University of Fukui (2021-2022) |
Principal Investigator |
平岡 大樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (60894764)
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Project Period (FY) |
2022 – 2024
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥11,700,000 (Direct Cost: ¥9,000,000、Indirect Cost: ¥2,700,000)
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Keywords | 養育者感情 / 実行機能 / 機能的脳画像イメージング / 遺伝子 / 母子関係 / 養育 / 周産期うつ / DNAメチル化 / fMRI / 乳児の泣き声 / MRI / エピジェネティクス / 乳児の泣き |
Outline of Research at the Start |
周産期うつは家族機能や児の発達に重篤な影響を与えることから,その発生や妊娠期から産後まで症状が継続する機序の解明が急務となっている。本研究では,その候補機序の一つとしてDNAの後天的な修飾のひとつであるDNAメチル化に着目し,母親の幼少期の逆境経験や社会経済的地位が周産期の母親のDNAメチル化に及ぼす影響,さらにDNAメチル化の程度と母親のうつ症状や乳児関連刺激処理中の脳活動との関連を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度にUniversity of Denverに滞在し,Pilyoung Kim教授との共同研究を遂行した。Kim教授のラボでは,妊娠中から産後までの複数時点で心理・脳画像・生体試料を測定する縦断研究を実施しており,そのデータ収集および解析の一部を担当した。当該縦断研究は現在も進行中であるが,2023年11月に産後1ヶ月時点でのデータ収集を完了した。この時点では,参加者はMRI内において,自身の乳児の泣き声,他人の乳児の泣き声,それぞれの音声から作成したホワイトノイズを聴取し,その間の脳活動を測定する課題に参加した。同時に,各時点において遺伝子解析用の唾液検体も採取し,これらも産後1ヶ月時点までの予定された収集を完了している。
データ収集と同時進行で,妊娠中の実行機能と産後の泣き声に対する脳活動の関係について解析を行った。妊娠中のストレスは産後の適切な母子関係性や養育行動を阻害することが知られているが,実行機能はストレスに対して脆弱であり,かつ泣き声刺激への反応の制御を担っていることが知られている。そのため,妊娠中の実行機能がストレスと産後の乳児刺激処理との関係を媒介する可能性が考えられた。 結果として,日常的に実行機能に困難を抱える養育者は,乳児の泣き声に対して聴覚野や島における脳活動が増加することが示された。この結果は,実行機能と乳児の泣き声処理の関連について新規性の高いものであり,今年度の脳機能画像イメージングに関する国際学会であるOHBM2024で採択され,発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は共同研究機関に長期的に滞在し,共同研究者が実施している縦断研究プロジェクトへの参画および,共同研究者やラボメンバーとの研究についてのディスカッション,知見の交換を実施した。 この研究プロジェクトは産前から産後複数時点の縦断研究であり,現在も進行中であるが,産後1時点目のデータ収集が完了した。この時点において,本研究課題で解析対象としていた乳児の泣き声に対する脳活動を測定するfMRIを実施しており,前処理やクオリティチェックを含めて,解析可能な状態となっている。 そのデータを用いて,妊娠中の母親の実行機能と産後の乳児の脳機能との関連について解析を行い,妊娠中の実行機能に困難を抱える母親ほど,産後の泣き声に対する脳活動が複数の領域で活発化していることが示された。この結果は,国際学会であるOHBM 2024でポスター発表として採択されており,順調に研究成果の発信まで遂行していると評価できる。
本研究課題では,DNAメチル化と泣き声に対する脳活動の関連を検討することも目的の一つであった。そのための唾液採取は完了したが,唾液からDNAを抽出・分析するための費用に関して,申請当初と比較して約1.4倍程度の円安となっており,当初予定していたサンプル数の解析に困難が生じている。本年度は共同研究者と相談しながら,予算内でのサンプルの一部解析等を実施し,DNAメチル化と脳機能との関連解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,すでに取得したデータを用いて,データ解析と成果発信を重点的に行う予定である。
妊娠中の実行機能と泣き声に対する脳活動の関連についての研究では,OHBM2024(2024年6月、韓国)でのポスター発表を行う。そこで得られたフィードバックと,他の研究者による発表から得られる情報に基づき,論文作成と投稿を完了する。
DNAメチル化解析に関しては,DNAの抽出とDNAメチル化レベルの推定をUniversity of Minnesotaに委託する予定である。解析に用いるサンプル数は,予算状況と円相場を考慮した上で,共同研究者と協議しながら優先順位を決定する。得られたDNAメチル化レベル(候補遺伝子およびDNAメチル化クロック)と泣き声に対する脳活動との関連について解析を行い,学会発表および論文執筆を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)