Project/Area Number |
21KK0288
|
Research Category |
Fund for the Promotion of Joint International Research (Fostering Joint International Research (A))
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 50020:Tumor diagnostics and therapeutics-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤木 文博 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (40456926)
|
Project Period (FY) |
2022 – 2024
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥14,560,000 (Direct Cost: ¥11,200,000、Indirect Cost: ¥3,360,000)
|
Keywords | LCMV / 疲弊T細胞 / LCMV慢性感染症 / 癌免疫療法 |
Outline of Research at the Start |
癌患者で積極的に誘導される疲弊T細胞は、癌免疫療法の効果を制限する。したがって、癌患者において疲弊T細胞の誘導を克服することができれば、患者の免疫力を高める革新的な癌免疫療法の開発に発展できる。本研究課題では、T細胞癌免疫応答を模倣する卓越した実験モデルであるリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)慢性感染症モデルを用いて疲弊T細胞誘導を克服する標的遺伝子の探索・同定する。LCMV慢性感染症モデルは世界的に認められた重要な実験モデルであるにもかかわらず本邦では確立されていないため、本研究課題を通して本邦に導入し癌免疫および免疫研究の発展に貢献する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
癌免疫療法の成功には、幹細胞様疲弊T細胞を最終分化疲弊T細胞ではなく効果的にエフェクターT細胞へと誘導することが求められる。本研究では、癌患者における疲弊T細胞誘導を模倣する卓越した実験モデルであるリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)慢性感染症モデルを活用することで疲弊T細胞誘導を克服する標的遺伝子を探索・同定し、癌患者の免疫力を高める革新的な癌免疫療法の開発を目指すものである。2023年度では、申請者がこれまでにCRISPR gRNAライブラリを駆使して同定したT細胞の分化制御に関与すると思われる遺伝子(未公表のため遺伝子Aと仮称を用いて表記する)の働きをLCMV慢性感染症モデルを用いて評価した。その結果、遺伝子A欠損T細胞は、最終分化疲弊T細胞への分化が抑制されていることが明らかとなった。それと同時に、最終分化T細胞の前段階であるTransitory T細胞(エフェクターT細胞)が増加しており、これと一致してIFN-g産生能が亢進していた。またRNA-seq解析およびsingle cell RNA-seq解析より、遺伝子Aは最終分化疲弊T細胞が発現するinhibitory receptorと考えられているCD200R、CD160およびCD7の発現を直接的に発現誘導することが示唆された。このことは、遺伝子Aを標的とすることでT細胞の機能低下を一挙に解決する可能性を示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡航後1ヶ月後に遺伝子A-floxマウスをJAXより導入し、コンディショナルノックアウトマウスを作製するためにCD4-CreマウスおよびP14-TCRマウスと交配を行い、本格的な解析のための準備が整った状況にある。マウス作製の期間中は、本課題の主目的であるLCMV感染症モデルの手技習得およびCRISPR-Cas9システムを用いた遺伝子AのT細胞における機能解析を行い、LCMV慢性感染症モデルにおいて遺伝子Aが最終分化疲弊T細胞の誘導に促進的に働いていることを明らかにしており、現在その分子メカニズムについても解明を進めようとしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
遺伝子AをT細胞特異的に欠損するコンディショナルノックアウトマウスを用いて、遺伝子AのLCMV慢性感染症および癌免疫における生理的機能・重要性について検討する。具体的には、最初に遺伝子A欠損により最終分化疲弊T細胞が減少することでLCMVの排除能に影響があるのか、検討する。次に、anti-PD-L1抗体治療への反応性を検討し、最後に癌細胞株を移植して癌細胞に対する免疫応答を評価する。 また、遺伝子Aが疲弊T細胞をどのようなメカニズムで最終分化疲弊T細胞へ分化させるのか解析・解明する。具体的な方策はATAC-seq解析を駆使して遺伝子Aがどのような遺伝子に影響を与えているのか解析する。さらに遺伝子AがSWI/SNFクロマチンリモデリング複合体に関与する報告があることから、我々は遺伝子AがSWI/SNFクロマチンリモデリング複合体を再配置することでT細胞の分化を制御している可能性を考えている。これについて検討していく。
|