Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
トマトおよびコリアンダーの部位別(茎、葉)・生育時期別(開花前、開花期、開花後)における揮発性抽出物の植物病原性真菌である炭そ病菌、灰色かび病菌およびつる割れ病菌に対する抗菌活性をペーパーディスク法を用いて検定した。トマト揮発性成分の供試3菌に対する抗菌活性が認められ、活性強度は茎部より葉部で高く、しかも第4果房下位の葉部では低く、第4果房上位から第7果房までの葉部で活性が高かったことから、活性強度は生育が進むに従い高くなるものと推定された。さらに、'ハウス桃太郎'、'麗容'、'麗夏'、'シュガーランプ'および'黄寿'の供試品種間でも抗菌活性の強度に違いが認められ、活性強度の品種間差異が確認されるとともに、耐病性の低い'黄寿'で活性が低かったことから、揮発性成分の抗菌活性と品種の耐病性との間に関連性のあることが推察された。コリアンダー揮発性成分の炭そ病菌、灰色かび病菌、つる割れ病菌およびグラム陰性菌の軟腐病菌4種植物病原菌にに対する抗菌活性を調査した。抗菌活性は、炭そ病菌および灰色かび病菌に対し極めて高く、次いで軟腐病菌およびつる割れ病菌となった。また、イチゴ炭そ病に対する部位別抗菌活性強度を調査したが、葉および花において阻止率100%と極めて高く、炭そ病菌に用いられる化学農薬ベノミルとの量的比較でも高い値を示した。さらに、未熟果実および完熟果実のおいても活性強度は高く、根および茎では上記4器官に比べ低い値となり、部位によって抗菌活性に差が認められた。今後は、トマトおよびコリアンダーの抗菌性を示す揮発性成分の同定を進めるべきと考える。