ハエ類による機械的な病原体伝播メカニズムの分子遺伝学的解明
Project/Area Number |
22580328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Basic veterinary science/Basic zootechnical science
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
岡戸 清 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 研究員 (30570486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉糠 洋陸 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (50342770)
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Project Period (FY) |
2010 – 2011
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2011: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2010: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / 媒介 / 病原体 / 感染症 / 嗅覚受容体 |
Research Abstract |
ハエ類による病原体の伝播は、単なる物理的現象でなく、bioenhanced transmission(媒介動物による促進的伝播)としての認識が示されている。申請者は、ハエ類による機械的伝播メカニズムを研究するために、ショウジョウバエを用いた伝播実験モデル系を構築し、ハエ類の行動や生理現象が機械的伝播にどのように関与するのかを解析した。その結果、ショウジョウバエは病原体を直接摂食し、糞を介して効率的に感染拡大を引き起こす事が示唆された。ハエ類が病原体を直接摂食することはこれまで報告されておらず、学会などで大変興味深い現象として注目された。ショウジョウバエの病原体に対する嗜好性を分子生物学的に解析するため、味覚や匂い、摂食に関する行動・神経変異体を用いて伝播能力を評価した結果、嗅覚受容体サブユニットをコードするOr83b遺伝子の変異体ショウジョウバエでその効率が激減することを見い出した。以上のことからショウジョウバエは、細菌由来の化学物質を触覚における嗅覚により認識し、明確な細菌嗜好性を示すことが示された。このような細菌由来の誘引物質を同定するために、ガスクロマトグラフと質量分析装置を直結したGC-MSによる分離を試み、インドールを含むいくつかの揮発性成分を検出した。そしてこれらの成分が、実際にショウジョウバエを誘引することを証明した。このような誘引物質を用い、病原体の伝播を引き起こすハエ類の嗅覚を撹乱させることにより媒介を防ぐなど、応用につながると考えられる。以上の結果から申請者らは、食中毒細菌の誘因物質によりハエ類における直接摂食が誘導され、媒介が促進されている可能性を示した。ハエ類による病原体の伝播に関する遺伝学的・分子生物学的な研究は大変に独創的であり、これまであまり知られていなかった機械的伝播メカニズムの解明に大きく貢献した。そして本研究により得られた知見が、ハエ類による媒介を制御する新しい方法を開発するためのシーズとなるのではないかと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)