腫瘍形成に宿主プロトン感知性受容体は関与しているか~受容体欠損マウスを用いた解析
Project/Area Number |
22659014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30142748)
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Project Period (FY) |
2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2010: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Keywords | 細胞外pH / プロトン感知性受容体 / マクロファージ / TDAG8 / 腫瘍形成 / サイトカイン |
Research Abstract |
腫瘍形成には酸性化(低pH)が伴う。これは酸素供給の低下を反映した解糖系の亢進による乳酸産生の増加に基づく。本研究では、最近同定されたプロトン感知性G蛋白質共役受容体が酸性化(低pH)を伴う腫瘍形成に関わっているかについて解析した。細胞レベルの解析(1)マウスの大動脈リングをマトリゲル内で培養し、血管内皮細胞の増殖活性に対する細胞外pH効果を調べた。細胞外pH低下は増殖活性を低下させたので、プロトン感知性受容体欠損マウス由来の血管を用い受容体の同定を目指している。(2)マウスのマクロファージではリポポリサッカライド(LPS)によって種々の細胞障害性のサイトカイン(TNF-aやIL-6など)を産生する。この作用は細胞外pHを低下すると抑制される。我々はこのpH効果はTDAG8の受容体欠損マウス由来では減弱していることを確認している。他の受容体の関与を調べるため、OGR1欠損マウス由来、G2AのsiRNAによるノックダウン細胞で調べたが、これらの受容体の関与は否定的であった。このように、TDAG8が主要なプロトン受容体であることが確認された。(3)マクロファージにはM1,M2タイプが存在し、腫瘍内では抗腫瘍活性の弱いM2タイプになり、腫瘍形成に対して促進的に機能していることが知られている。そこで、腫瘍内で観察される酸性pHがM1,M2変化に与える影響を調べた。その結果、酸性下ではM2タイプが有意になることが確認された。現在、その機構を解析している。個体レベルの腫瘍形成とOGR1ファミリー:(4)マウス由来癌細胞(LLC1、B16)を野生型、またはOGR1,TDAG8,GPR4欠損マウスの皮下に接種し、腫瘍の進展、サバイバルなどを調べた。その結果、欠損マウスの種類の違いにより腫瘍形成の程度に違いが観察された。このように、宿主のプロトン感知受容体は腫瘍形成に対して重要な役割をはたしていることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(22 results)