Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
遺伝子工学と光学を組合せて神経細胞を観察・制御するオプトジェネティクス研究が、脳神経回路の形成と動作原理を理解するうえで有効であるものと期待されている。このため、ミリ秒オーダーの高速に神経細胞を脱分極させる藻類の青色光感受性・陽イオンチャネル(channelrhodopsin-2,ChR2)が応用されている。そこで本研究ではCre-loxPシステムを用いて特定の脳領域・細胞種(特定のニューロンやグリアなど)にChR2を高発現できるノックインマウスの作製を目指している。そして、これが汎用性と精度が高く、脳研究に有用な遺伝子改変マウスであることを検証することを目標とする。2010年度の進捗状況と成果は、次に示す通りである。1)強力でユビキタスに働くプロモーターCAGを用いたChR2ターゲットノックインES細胞(マウスES細胞E14株)の相同組換え体について、DNA組換え酵素Creによる発現調節を、in vitroのレベルで確認した。2)上記(1)の解析によって、既に作成したコンストラクトでも、期待されるレベルの発現が得られる可能性が確認された。したがって、計画中の変異型のlox配列を用いた新たなターゲティングコンストラクトの作製よりも、現有クローンについての解析を先行し、変異マウスの発生をできるだけ前倒しして、実施することにした。3)ES細胞クローンのChR2の機能確認のため、未分化なES細胞クローン(ただしCre-loxP組換え体)、あるいは我々が作製したセロトニン神経細胞誘導法によって分化後の細胞について、蛍光タンパクVenusによる蛍光、電気生理学的解析、免疫染色法等による解析を実施した。