Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では健常被験者を対象に、PETより時間解像度が高く、事象関連デザインを使用することが可能な機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、記憶の記銘と想起に関連して再活動が認められる領域を特定し、さらに刺激の記銘・想起に成功した場合と失敗した場合を分離して解析することで、それらの領域の記憶における機能的役割を明らかにすること、また同一の被験者に対し、皮質下の白質線維束の線維走行の状態や方向を検証することが可能な拡散テンソル画像を撮像することで、賦活が同定されるであろう内側側頭葉と後方皮質領域間の繊維連絡を定量化し、「再活性化の仮説」を構造の面で検討することを目的とした。このことにより、健常者のエピソード記憶のメカニズムを機能・構造の二つの側面から検討することが出来ると考えた。ここで用いる実験パラダイムは、先行研究を概観することで明らかになった課題設定、及び解析方法の問題点を克服したものであり、「再活性化の仮説」を検討するために最適であると思われるもの用いたいと考えている。そのため今年度は、過去の研究で用いた無意味図形に色と動きを付加した、言語的な情報を使用しない課題が適切かどうかの確認を行うために、先行研究の調査、及び刺激作成のための予備実験を行った。その結果、無意味図形を用いることにより課題の難易度が増す点、先行研究においては全て有意味な刺激を用いていることが判明した。23年度から学術振興会特別研究員として、当該テーマに関する研究を継続する予定であるので、その研究に今年度の成果を反映させていく予定である。