Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
親電子物質はタンパク質の求核基と共有結合する性質を有している。親電子物質に修飾されるセンサータンパク質の中でも、活性部位に反応性の求核基を有するタンパク質は親電子物質によってその活性を制御される。これまでに、我々はプロテインチロシンホスファターゼ1B(PTP1B)が、大気中に存在する親電子物質1,2-ナフトキノンのセンサータンパク質であることを明らかにした。PTP1Bは上皮成長因子受容体(EGFR)のリン酸化を負に制御することで、生体恒常性を制御しているタンパク質であり、活性部位には反応性の求核基(システイン残基)を有する。一方、生体内においても多種の親電子物質が産生されており、そのひとつがニトロ化を受けると親電子性を有する脂肪酸となるニトロ化オレイン酸(OA-NO_2)である。本研究では、このPTP1B/EGFRシグナルが生体内の親電子物質であるOA-NO_2に対してもセンサーとして働くか否かを明らかにすることを目的とした。OA-NO_2をA431細胞に曝露すると、濃度依存的に細胞内PTPsの活性が低下し、EGFRの自己リン酸化が亢進し、EGFRの下流のシグナル伝達因子であるERK1/2のリン酸化も増加した。PTP1Bの精製酵素にOA-NO_2を曝露すると、OA-NO_2の濃度依存的にPTP1Bへの結合及び活性阻害が促進された。MALDI-TOF/MS分析した結果、OA-NO_2のPTP1B結合部位がCys215およびHis54であることが明らかとなった。以上より、内在性親電子物質であるOA-NO_2はPTP1Bの活性部位Cys215に結合し、本酵素活性を阻害することで、EGFRの自己リン酸化に伴う親電子シグナル伝達経路の活性化を引き起こすことが示唆された。
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Chemical Research in Toxicology
Volume: (印刷中)
Atmospheric Environment
Volume: 44 Pages: 1483-1489
http://www.md.tsukuba.ac.jp/community-med/environmental_medicine/main/toppage.html