Project/Area Number |
22720043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Aesthetics/Art history
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
春木 有亮 Osaka University, 文学研究科, 助教 (80469535)
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Project Period (FY) |
2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2011)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2011: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2010: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 習慣 / 飽き / 慣れ / 美学 / 芸術 / 感性 / メルロ=ポンティ |
Research Abstract |
本研究は、フランス思想史上の習慣論を「感性」、「創造」といった美学的コンテスクトにおいて読みなおしつつ、「飽き」論の構築を試みる。本年度は、基礎考察の意味で、おもに二つの作業をおこなった。第一に、近現代フランスの習慣論を理性-感性という二元的コンテクストにおいて理解した。「習慣」の発見は、モンテーニュ(1533-1592)においては「習慣化された理性」という理性観とともにあり、懐疑論につながる。デカルト(1596-1650)においてはむしろ、理性的認識としての学問と習慣としての技術が対置されるが、パスカル(1623-62)においては再び、モンテーニュを引き継ぐかたちで合理主義自体が習慣の所産とされる。やがて経験論を挟み、コンディヤック(1714-80)は感覚一元論の下、汎習慣主義とも言える人間観をうち出し、メーヌ・ド・ビラン(1766-1824)は、習慣の考察を通して、感覚に能動性を、思考に受動性を見出し、従来の二元論的区分に反省を促す。その路線は、ラヴェッソン(1813-1900)、ベルクソン(1859-1941)において深化し、習慣は心身が交感するための要石の働きを担うに至る。その先に、メルロ=ポンティ(1908-61)の身体論の立場からの習慣論を位置づけることができる。このように習慣論を図式的に概観し、習慣概念がつねに理性(知性)に対する感性の牽制をはらんできたこと、ひいては、理性と感性の交差の契機となってきたことを明らかにした。第二に、先述の作業と並行し、習慣論の言説に見え隠れする「飽き」概念、それに類する概念をピックアップした。たとえば、デカルト、パスカル、メーヌ・ド・ビランが語る「倦怠」、「嫌気」。とりわけメーヌ・ド・ビランの感情の「外化」の理論。また、ドゥルーズが時間論上で語る「飽満」や「疲労」。こうした各思想家の「飽き」概念を、美学的視点から編成しなおした習慣論史上に位置づけていくことにより、裏面の習慣論たる「飽き」論構築の可能性をさぐった。
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