Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
原生代の初期と末期に起こったとされる全球凍結の発生メカニズムには、未だ不明な点が多い。本研究では、「地球磁場強度の落ち込みによって対流圏上層部へ侵入する銀河宇宙線量が増加し、低層雲量を通じてアルベドが増加することで寒冷化が起こる」という全球凍結モデルを検証することを目的として、原生代初期(ヒューロニアン氷期・マクガニン氷期、約24.5-22億年前)および末期(スターチアン氷期・マリノアン/ヴァランガー氷期、約7.5-6億年前)における古地磁気データの蓄積を試みる。今年度は、原生代初期における全球凍結の実像を再検証するために、ヒューロニアン氷期における大規模氷河堆積物の形成場の古緯度の再検討を実施した。用いたデータは、平成19年度に採取をおこなった米国ミシガン州のMarquette Range累層群に属する堆積岩類から得られた古地磁気・岩石磁気データである。平成19年度および平成20年度に、ジョセフ・カーシュビンク教授の協力のもと、米国カリフォルニア工科大学において古地磁気・岩石磁気測定を実施したEnchantment Lake累層のダイアミクタイトとその上位に堆積するMesnard累層の珪岩およびKonaドロマイトから得られた古地磁気方位を再解析し、先行研究の結果等と比較した。また、太古代末期から原生代初期(約28-20億年前)にかけて、これまでに得られているテリエ法による古地磁気強度データをコンパイルし、データの信頼性について再検討を実施した。