Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的は、農業的に重要なオオムギを材料にイネ科花器官形成に関わるブラックボックスを解明することにある。これまでにオオムギミュータントパネルから5本葯変異体five anthers(fan)および穎状リンピ変異体KM2という2つの劣性変異体を見出した。これらはリンピのidentityが変化するという表現型を示し、イネ科植物の花器官形成における最大の問題点(クラスA機能遺伝子の実体)を解決するための重要な変異体である。当該年度は、当初の計画通りfanおよびKM2の原因遺伝子のマッピングを進めた。それと並行して、イネ-オオムギ間のゲノム構造の相似性を利用してシンテニーマッピングを進めた。具体的には、ラフマップの結果とマーカー間の保存性を参考にして、イネ発現プロファイルのデータ解析を行うことにより、原因遺伝子の可能性がある遺伝子領域を選定、シークエンスした。その結果、これら2つの変異体の原因と思われる領域を特定した。当初の予想と異なり、いずれの原因候補遺伝子もMADS-box遺伝子ではなかったが、この事実はイネ科クラスA遺伝子の実体が極めてユニークな機構により制御されている事を示している。KM2については数100kb以上の大きなデリーションが生じており、対象遺伝子を特定することは困難であった。一方、より重要視していたfan変異体については、5H染色体上に存在するBTB/POZドメインおよびankyrinrepeatを持つ機能未知の遺伝子を有力な候補として特定した。20系統以上のfanアリル変異体について、解析を行った全系統で対象遺伝子座に関する変異が見出されていることも、原因遺伝子特定の裏付けの一つと考えている。類似の遺伝子が花器官の形態形成に関与しているという報告は無く、得られた結果は新規性が高い。in situ hybridization、yeast two-hybrid、融合タンパク質の精製、FAN特異的抗体の作製が既に完了しており、当初の予想よりも早いペースで成果が出ている。現在、fanの高密度マップと機能解析およびオオムギ形質転換体の作出を進めている。
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J.Exp.Bot.
Volume: 61 Pages: 3983-3993
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