Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、"薬剤誘発性遅発型副作用発現の予測を目的とした母集団解析モデルの構築"と題し、抗MRSA薬であるリネゾリド(LZD)誘発性の血小板減少症に対する母集団解析モデルの構築を行った。治療目的でLZDを投与された日本人感染症患者50名を対象とし、定常状態下においてのLZD血中濃度を一人当たり1~4点(計135点)測定し、母集団薬物動態解析を行った。解析の結果、添付文書上の記載に反し、腎機能指標であるクレアチニンクリアランス(CLcr)と重度の肝硬変がその体内動態に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。また、各対象においてLZD投与期間、及び投与前後における血小板値(PLT)を記録し、LZD暴露量とPLTについてTransitモデルを利用した半生理学的モデルを含む母集団薬物動態薬効動態モデル(PPK/PDモデル)を構築し、構築したモデルについて、PLT推移のみを記録した別のLZD投与患者60名(バリデーションデータ)に対して、その妥当性の検証を行った。LZDにによる血小板減少は構築したモデルにより良好に記述され、バリデーションデータへの当てはまりも良好であった。最後に暴露量影響因子を考慮した特殊集団における薬効指標(AUC/MIC)、PLT推移についてモンテカルロシミュレーションを行い、背景因子に基づいた妥当な用法・用量について策定した。構築したPPK/PDモデルからのシミュレーションにより、腎機能低下群(CLcr<30ml/min)、重度の肝硬変併発群においては現行規定用量の半量である600mg/dayで有効性を担保しつつ、血小板減少症発現リスクを下げることが可能なことが示唆された。
All 2011 2010
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Antimicrobial Agents and Chemotherapy
Volume: (編集中)