Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度はCAPN6による微小管とアクチンの新規相互調節機構を明らかとするため免疫沈降法およびPull down assay法によりCAPN6の相互作用分子を探索し、グアニンヌクレオチド交換因子GEF-H1を同定した。GEF-H1は微小管との結合状態によって活性が調節され、微小管とアクチンの相互連関に関与する分子として注目されている。まず、免疫染色法によりCAPN6とGEF-H1の共局在を確認し、次にCapn6-KD細胞におけるGEF-H1の挙動に注目した。Capn6のKDによって誘導される活性型RaclはGEF-H1のKDによってキャンセルされ、またCapn6-KD細胞ではGEF-H1が微小管から解離し、アクチンフィラメント上でRaclと活性複合体を形成していることを明らかとした。この結果から、CAPN6は微小管上でGEFH1を繋ぎ止めることで、GEF-H1のRac1に対する活性を制御し、微小管とアクチンの相互作用の調節に関与していると考えられた。一方、Capn6-KD細胞ではRhoAの活性が強く抑制されていることが見出され、CAPN6によるGEF-H1活性制御との関連が注目される。本年度の成果は1、カルパインファミリーで唯一酵素活性中心を欠失したCAPN6の機能がカルパイン分子のプロテアーゼ活性非依存的な機能を示唆した点2、細胞骨格や運動性の調節のみならず、細胞分化や個体発生においてもキーファクターと考えられる微小管-アクチン相互作用にCAPN6による全く新規の調節機構を提示した点、で非常に意義ある結果と考えられる。本年度はさらにCAPN6発現組織である筋組織の初代培養細胞の樹立ならびに当該初代培養細胞の筋分化誘導過程におけるCapn6の発現誘導を明らかにし、これに続く遺伝子欠損マウスを用いた解析の基盤を確立することが出来た。
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Journal of Cell Science
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