Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ヒト骨代謝に関与する液性因子を同定しその役割を検討することを目的として、ヒト破骨細胞誘導in vitro実験系におけるケモカイン産生を検討した。先行研究であるマウス実験からは、生理的な骨代謝回転において、通常は免疫応答に関与しているケモカインの受容体が、破骨細胞のみならず骨芽細胞にも発現し、相互に影響しあう液性因子として作用している可能性が示唆された。このように少なくともマウスにおいては、破骨細胞と骨芽細胞がその分化成熟段階で共有する液性因子として「責任ケモカイン」候補が決定している。しかしながらこれまでヒトにおける対応関係は、炎症性骨疾患に関与する液性因子こそ散発的に報告されているものの、生理的な意義を含めたその実態はまったくの不明である。文献上は、マウスの場合と同じリガンドがヒトにも存在し、それぞれに対応する受容体に結合することが判明している。しかし対応するリガンドについては、ヒトにおいてはその機能が不明である8種類のヒト特異的ケモカインリガンドが存在する。このため、この8種を中心に骨代謝回転におけるケモカインの役割を重点的に解析した。ヒト破骨細胞ならびに骨芽細胞をin vitro実験系においてそれぞれ誘導し、分化・成熟段階に応じて産生されるケモカインをELISA法またはrealtimePCR法によりタンパクレベルおよび核酸レベルでそれぞれ検出・測定した。検出された因子が感染に随伴するものであるかどうかを、破骨細胞をLPSならびに結核菌添加条件して骨炎症状態を再現した状況で培養することで検討した。このうちのいくつかのケモカインは一般の炎症でも誘導される骨破壊因子であることが推察された。また、生理的骨分化に特異的なケモカインと思われるケモカインも検出された。これら結果は.感染条件における骨破壊ケモカインと生理的ケモカインとが明確に区別されることを意味する。これら結果は、現在投稿準備中である。
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Journal of Biological Chemistry
Volume: 285(37) Pages: 28826-28826
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