Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
1.研究の目的EBL分子第6領域のどの部分がマイクロネームへの輸送に必須であるかを遺伝子組換え原虫を作製して検討する。2.具体的内容(1)EBL分子第6領域の全システインと種間で保存された分子表面にあると推定されるアミノ酸を一つずつアラニンで置換した組換え原虫を遺伝子相同組換え法により作製した。(2)作製したEBL分子組換え原虫のEBLの局在を分子に融合したGFPによるライブイメージングと特異抗体を用いた間接蛍光抗体法で観察した。(3)システインを組換えた原虫では8個のシステインのうち6個は組換えによってEBLの局在の変化が観察された。しかし残り二つのシステインを組換えても局在は変化せず、第6領域の立体構造中にEBL分子の局在に重要な特定の部分がある事が示唆された。(4)システイン以外のアミノ酸を組換えた原虫では、ただ一カ所のチロシンを組換えた場合のみに局在の変化が起こった。この事は第6領域の極めて限られた部分が分子の局在を決定している事を強く示唆する。3.意義マラリア原虫の侵入関連分子の細胞内輸送メカニズムは未知であるが、分子のごく一部のアミノ酸が重要である事が示唆された。4.重要性EBLはマラリア原虫の赤血球侵入に必須の分子だが、その機能は赤血球接着を除いてよく分かっていない。今回分子内の細胞内輸送メカニズムの解明の糸口をつかむ事が出来た。マラリア原虫赤血球侵入分子機構を解明する手がかりとなる事が期待できる。