Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ポリペプチドである膜透過ドメイン(PTD)にHypoxia inducible factor 1α (HIF-1α)の酸素依存性分解ドメイン(ODD)を融合し、これに任意のタンパク質に融合すると融合した任意のたんぱく質は、血液脳関門を通過し血流の乏しい組織中にも分布することができ、さらにHIF-1タンパク質と同様の酸素依存的安定性の制御を受けるようになる。すなわち、正常な細胞内ではユビキチン-プロテアソーム系を介した分解をうけその機能を失い、虚血状態の低酸素細胞ではそれが安定化するのである。PTD-ODD融合タンパクに近赤外蛍光色素(波長域800nm)を負荷し、このPTD-ODD融合蛍光プローブの局所脳虚血マウスモデルにおける動態をin vivoイメージング手法を用いて検証した。脳梗塞巣からは自家蛍光シグナルが強く認められたが、この自家蛍光の波長はおよそ500-700nmであり、より長い近赤外線域の蛍光色素を用いることによって自家蛍光の影響を回避することが可能であった。一過性中大脳動脈閉塞後に尾静脈より投与されたPTD-ODD蛍光プローブは投与3から6時間後には虚血部位に有意に集積した。非虚血部位におけるPTD-ODD蛍光プローブ残量は、ODDの機能を失わせた変異型ODDを用いたPTD-mODD融合蛍光プローブよりも有意に少なく、この結果はODDの機能を持たせることによって正常な組織内での残留を少なくすることを示している。PTD-ODD融合タンパクを用いることによりHIF-1活性の高いペナンブラ領域へのより効率的かつ選択的な薬物送達を可能とする。虚血巣での作用を保ちながら、かつ、正常細胞への作用を軽減することで、従来の神経保護薬の問題点を克服するドラッグデリバリーシステムを実現するものと期待できる。
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Stroke
Volume: 41 Pages: 2938-2943
http://www.med.kyoto-u.ac.jp/GCOE/result/view/takahashi/takahashi.html