Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では肺癌切除例において、FDGおよびCu(II)-ATSMの集積部位を切除標本における病理組織所見と対比する。本検討に先立ち先ずは切除標本から切片を作成する方法について検討を行った。画像所見はaxial方向が最も汎用性が高いと考えられ、切除標本もあるべくこの断面に沿った作成が重要と考えられた。このため切除直後に切除標本の向きを確認し、最も頭側の部分に糸による目印をつけた。この後十分な伸展固定を行った。これによりほぼ画像axial断面に沿った標本作成が可能となった。動物実験では複数種類の肺癌細胞株の培養を開始し、継代の再現性、細胞形態観察の度合い、発育速度の再現性などを確認した。今後主に低酸素パックを用いた低酸素培養環境にて発育を確認し、比較検討する。またこれらの細胞株において発育速度に差が見られた場合には、さらに細胞からタンパクやRNAを抽出し、血管新生、低酸素、代謝物トランスポーターなどに関する因子の変化を解析し比較検討する。これにより固形癌における低酸素において近年重要性が明らかにされつつある増殖マーカー、血管新生マーカー、EMTマーカー、低酸素マーカー、糖トランスポーターのマーカーなどを動物実験あるいはがん細胞株を用いて検討し、各種マーカーの有用性と限界を検討することが可能となる実験モデルの構築を目指す。臨床的検討では肺癌切除症例において術前にFDG-PET-CTならびに62CuATSM-PET-CTを行う。予定であるが、画像撮影の条件設定について検討を進める。