Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
本研究は、自閉症やアスペルガ-障害に代表される-群の疾患である自閉症スペクトラム障害(ASD)に着目して、大規模なASD研究が進行するゲノム・脳科学領域の発展が、ASD当事者や家族、そして社会全体に及ぼしつつある課題を、過去から現在に至る自閉症研究と社会の関わりの流れの中に位置づけ、また諸外国および他の疾患例と比較することを通じて、その将来的な解決策の提案に至る道筋を示すことを目指した。具体的には、まず1)我が国に流通したASD研究に関する情報の歴史的変化および世界的なASD研究の動向の変化について、文字情報に注目した定量的分析を行っている。既存の研究は特定の分野に特化した歴史的変容に焦点を当てたものが大半を占めており、このような定量的分析による分野全体の動向の変化や社会全体に流通した情報の変化という観点にたった分析は、新しい視点を提供することが可能である。2)次に、以下の2通りの先行事例調査を進めることによって、日本国内におけるASD研究と社会の良好な関係構築に必要な要因を探った。始めに、大規模なASD研究が進行し、かつ研究とASD当事者との関係構築において積極的な取り組みが行われている英国及び米国について、両国内における研究と当事者間の関係構築の取り組み、ASD当事者団体と研究者集団の関係の親状に閥して、ウェブ及び現地調査(英国のみ)を行った。次に、日本国内において疾患当事者と研究者間の関係構築の取り組みを積極的に行っている小児がんや1型糖尿痛などの先行事例について、現状や課題などの聞き取り調査を行った。これらの先行事例から得た教訓は、現在、我が国において構築が進められている自閉症研究と社会の良好な関係構築に対して、そして今後の科学技術と社会の関係構築において有用な知見となることが期待される。
All 2011 2010
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)
科学技術コミュニケーション
Volume: 9号
40018915511