Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
対面会話時の話者と聴者の瞬目が、話の切れ目で特異的に同期していることを我々のグループは発見した(Nakano&Kitazawa,2010)。そこで、顔の目と口の情報がどのような相互作用を通じて瞬目の同期を引き起こしているのか、を明らかにするために、映像に特殊な加工を施し、顔の一部分のみ見える課題を作り、顔のどの部分が見えている時に、瞬目の同期がおきるのかを調べたところ、目のみ、口のみの条件では瞬目同期が生じず、顔全体が見えている時にだけ瞬目同期が生じていたことから、目・口両方を含む顔全体の情報が、2者間の瞬目の同期現象には欠かせないことが示された。さらに、対面会話時の話者と聴者の瞬目同期とコミュニケーションの関係性を明らかにするために、コミュニケーションの質的な障害が主症状である自閉症において、このような他者との瞬目の同期が生じるのを調べたところ、定型発達群では瞬目の引き込み現象が認められたのに対し、自閉症群は、目と口を定型発達群と同じような注視率で見ていたにも関わらず、自閉症群では瞬目の同期現象が生じていなかった。このことから、自閉症群のコミュニケーションの質的障害は、他者と文脈や情報を共有し、他者に同調しよういう無意識な行動が生じないために引き起こされているのかもしれない。これらの結果をまとめた論文はNeuropsychologia誌に掲載された。
All 2011
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
Neuropsychologia
Volume: 49 Pages: 2784-2790