Budget Amount *help |
¥3,146,000 (Direct Cost: ¥2,420,000、Indirect Cost: ¥726,000)
Fiscal Year 2011: ¥1,508,000 (Direct Cost: ¥1,160,000、Indirect Cost: ¥348,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,638,000 (Direct Cost: ¥1,260,000、Indirect Cost: ¥378,000)
|
Research Abstract |
真性粘菌Physarum polycephalumの変形体は,単細胞多核の巨大アメーバである.変形体は単細胞生物でありながら,計算,記憶,学習能力を持つことが近年明らかにされつつあり,生物学的見地からのみならず,脳科学,人工知能等の研究分野からも注目を集めている.本研究課題では,変形体の持つ能力のメカニズムを明らかにすることを目標としつつ,変形体の計算,記憶,学習能力についての研究を行い,必ずしも神経系の存在に依存しない知能一般の理解を構築することを目的とする一連の実験が遂行された.実験により,以下のような結果が得られた. 1.変形体の細胞運動に関する実験において,2つのアロメトリーが発見された.即ち,2次元形状の変形体が平面上において被覆する面積は変形体の重量の3/4乗に比例し,変形体の運動速度は体長に比例することが明らかとなった.ただし,これらは1~100mgの変形体において確認された事実であり,より幅広いスケールで同様のアロメトリーが成立するかどうかについては今後の研究において調査する予定である. 2.変形体は,20℃から30℃程度の温度範囲においては高温に向かう走性を持つが,低温条件(20℃)にのみ豊富な栄養源を準備することにより,変形体に低温の場にのみ栄養源が存在するという条件での連合学習を行わせ,走温性を逆転させることに成功した.即ち変形体に学習を行わせることにより,変形体が従来有している走性を変更することに成功した, 以上の結果は2編の査読付国際会議論文及び7件の学会発表によって公表された.なお,繰越予算を用いて導入された恒温装置を用いることにより,上記の結果はより厳密な条件の元で追試された.
|