Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
本研究の目的はチベット自治区ラサ市における観光産業の就業状況、観光スポットの入場料収入の使途を現地調査と資料調査により明らかにすることにある。調査対象とする観光産業は旅行会社、ホテル、土産物屋とし、観光スポットは大昭寺、セラ寺、デプン寺、ポタラ宮とする。資料調査はチベット自治区とラサ市の旅游局にて実施する。平成22年度では、12月下旬~1月初旬の約2週間をかけて現地調査を実施した。2008年3月のラサ騒動以降、町中に公安や武装警察が配備されているため、アンケート調査は困難な面が多かったが、聞き取り調査によってその不足を補った。その結果、旅行会社、ホテルなどの経営者には確かに漢族出身者が多いが、その実情は独占的というわけではなく、チベット族経営者も相当数存在することがわかった。また、小規模な土産屋の経営者はチベット族が大多数であるが、彼らの出身地はラサや他のチベット自治区の地域よりも、四川や甘粛、青海の方が多く、ラサがチベット族にとって出稼ぎの目的地の一つになっている現状も見えてきた。以上の調査から、単なる漢族対チベット族という構図だけではなく、民族内格差の存在も視野に置いた検討が必要なことがわかった。当初、経済格差と民族間格差の実情の一端が明らかになると想定していたが、さらにチベット問題の重層化が見えてきたのは大きな収穫であった。
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