Budget Amount *help |
¥3,016,000 (Direct Cost: ¥2,320,000、Indirect Cost: ¥696,000)
Fiscal Year 2011: ¥1,391,000 (Direct Cost: ¥1,070,000、Indirect Cost: ¥321,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,625,000 (Direct Cost: ¥1,250,000、Indirect Cost: ¥375,000)
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Research Abstract |
結晶構造における空間反転対称性の破れは、スピン軌道相互作用を通じて電子状態に影響を及ぼす。超伝導状態においてはスピン1重項とスピン3重項の混成が生じ、フルギャップからラインノードに至る多彩な超伝導ギャップ対称性を示すことが予想されている。空間反転対称性が破れた超伝導体であるLi_2(Pd_<1-x>Pt_x)_3Bは、x=0(超伝導転移温度:Tc=7.0K)ではスピン1重項が支配的、x=1(Tc=2.8K)ではスピン3重項が優勢である事が先行研究により指摘されている。本研究では、空間対称性の破れが超伝導ギャップ対称性に与える影響を調べるために、角度積分光電子分光を行った。光電子分光装置として世界最高の冷却性能(T=1.8K)とエネルギー分解能(ΔE=150μeV)を有する新型レーザー光電子分光装置を用いた。Li_2(Pd_<1-x>Pt_x)_3B(x=0,0.25,0.375)の超伝導ギャップスペクトルを得ることに成功し、スピン一重項及びスピン三重項の成分比をパラメーターとしたダインズ関数によるフィッティング解析を行った。その結果、x=0の超伝導ギャップスペクトルは、スピン1重項成分のみのフィッティング関数により再現することができた。一方で、x=0.25及び0.375ではスピン1重項成分のみではデータは再現できず、それぞれ20%と30%のスピン3重項成分を入れることで最適なフィッティング関数が得られた。本研究から、PtによるPdの置換はスピン軌道相互作用の増大をもたらし、その寄与は状態密度における超伝導ギャップ構造に現れるほど大きいことが示唆された。
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