Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
心臓は発生過程でもっとも早くから機能する器官であるが、初期の心臓は、心筋と心内膜とからなるごく単純な一本の管にすぎない。心筋に血液を供給する冠動脈は、心臓が拍動しはじめたのちに、proepicardium (PE)とよばれる心臓の外から移動してくる細胞のあつまりが新たに付け加わることによって生じる。近年、PEおよびその子孫細胞が、冠動脈だけでなく、心筋を含む心臓のさまざまな細胞種に分化しうることが示され、その性質やふるまいは、再生医学の観点からも注目されつつある。PEは、鳥類胚の場合、肝臓原基の近傍から体腔に向かって突出する絨毛様突起として認められ、それは心臓に向かって成長し、心臓表面への接着を経て、心臓へと進入する。PEの成長および心臓への接着は、冠動脈と心外膜をもつ正常な心臓の形成ひいては胚の生存に必要不可欠であるが、それらを制御するしくみはよくわかっていない。研究代表者らは、in vitro培養およびin vivo両方の系において、PEが心臓の房室接合部に向かって成長することを明らかにした。房室接合部のPEに対する成長促進作用は、房室接合部で高レベルに発現するBMP2タンパク質によってミミックされ、BMPに対する拮抗阻害タンパク質Nogginによって阻害された。これらの結果は、心臓由来の分泌性シグナル分子が、PEの形態形成運動を制御することにより、PE細胞を心臓の特定の部位へと導くというモデルを支持している。本研究によって得られた知見が、今後の心疾患の新規治療法の開発に貢献することが期待される。
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Developmental Cell
Volume: 19 Pages: 307-319
http://first.lifesciencedb.jp/archives/856
http://www.kyoto-su.ac.jp/department/nls/news/20100921_bmp.html